ファーウェイ「開発ツール」の国産化を急ぐ背景 半導体の回路設計ソフトなど、すでに78品目

✎ 1〜 ✎ 1210 ✎ 1211 ✎ 1212 ✎ 最新
拡大
縮小
ファーウェイは、アメリカ政府の制裁を受けない国産開発ツールへの置き換えを急ぐ。写真は広東省深圳市の研究開発センター(同社ウェブサイトより)

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、製品の研究開発に欠かせない開発ツールの国産化を急ピッチで進めている。

「2019年以降、ハードウェア、ソフトウェア、半導体の3分野で78品目の輸入代替(訳注:国産化を通じた輸入品の置き換え)を達成した」。ファーウェイの輪番董事長(交代制の会長職)を3月末まで務めた徐直軍氏が、2月28日の社内イベントでそう明かしていたことがわかった。

なかでも注目を集めている半導体分野について、徐氏は輸入代替の進捗を次のように語った。

「わが社の開発チームは、中国国内のパートナーと共同で回線幅14nm(ナノメートル)以上のプロセス技術に対応した半導体向けEDA(電子回路設計の自動化)ソフトウェアを作り上げ、国産化を成し遂げた。2023年はその(機能の)検証作業をすべて完了させる」

28nm級の半導体製造装置も

徐氏は同時に、輸入代替をさらに進めるための課題にも言及した。

「まだ国産化の見通しが立たない開発ツールも少なくない。例えば光学設計のシミュレーションや、複合的な物理シミュレーションのソフトウェアなどだ。その道の専門家を世界中から募り、共同開発のパートナーとして継続的にサポートすることで、ブレークスルーを実現したい」

アメリカ政府がファーウェイに対する制裁を2019年に発動して以降、同社は社内の研究開発投資を大幅に増額。と同時に、社外のパートナー企業や大学などとの共同開発の取り組みを強化してきた。

財新記者が取材を通じて得た情報によれば、ファーウェイは中国の複数の半導体関連企業と提携し、アメリカ由来の技術に依存せずに回線幅28nmの半導体チップを生産できる製造装置の開発も進めている。

本記事は「財新」の提供記事です

ファーウェイの創業者兼CEO(最高経営責任者)の任正非氏は2月24日、同社の研究開発の今後について次のように発言した。

「われわれは困難な時期をまだ脱していないが、前進の歩みを止めることはない。ファーウェイは2022年に238億ドル(約3兆1158億円)の研究開発費を投じた。数年後には収益の拡大に合わせ、最先端の研究開発にさらに多く(の資金)を投じることになるだろう」

(財新記者:覃敏)
※原文の配信は3月24日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT