中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、新たな事業領域であるスマートEV(電気自動車)関連事業で新戦略を打ち出した。
「複数の自動車メーカーと提携し、ファーウェイが主導する『ブランド連合』のエコシステムを作り上げたい」。同社の端末事業部門のCEO(最高経営責任者)で自動車関連部門のトップを兼務する余承東氏は、最近、メディアの取材に対してそう発言した。そして2月22日、ファーウェイは余氏が明かした新戦略を正式に発表した。
余氏によれば、中国の自動車業界はかつてスマートフォン業界が経験したような激しい生存競争に直面している。「ファーウェイのブランド連合は、複数のパートナーが協力して戦い、最後まで生き延びる少数のなかの1つになることを目指すものだ」(余氏)
ファーウェイと自動車メーカーの提携方式には、「華為智選(ファーウェイ・スマートセレクション)」と「HI(Huawei Inside)」の2つがある。そのうち、最近の主軸になっているのは華為智選方式だ。
この提携では、パートナーの自動車メーカーに対してファーウェイが(駆動系の制御システムや自動運転システムなどの)コア部品を供給する。さらに、スマートEVの基本設計、UX(ユーザーエクスペリエンス)の設計、総合的な品質管理、組み込み型ソフトウェアのアップデートなどに関しても、ファーウェイ側が主導する。
(訳注:「HI」方式では自動車メーカー側が主導権を持ち、ファーウェイの自動車関連技術をフルセットで搭載したクルマを開発する)
奇瑞汽車やCATLとも提携
ファーウェイは2021年4月に開催された上海モーターショーで、中堅商用車メーカーの小康工業集団と共同開発した華為智選方式の初のスマートEV「賽力斯(セレス)SF5」を発表した。
だが、期待に反してセレスSF5の販売が低迷すると、ファーウェイと小康工業集団は2021年12月に(ファーウェイ主導の色彩をより強めた)新ブランド「AITO(アイト)」を立ち上げた。その際に余氏は、「ファーウェイは自社ブランドのクルマは作らない。AITOのような、ファーウェイの技術を組み込んだクルマ作りに徹する」と改めて強調した。
その後1年余りを経て、ファーウェイのパートナーは着実に増えつつある。中国の国有建設大手の中建集団は2月16日、安徽省合肥市の新たな工業団地の建設を受注したと発表した。この工業団地は合肥市政府の重点プロジェクトに位置付けられており、地元の中堅自動車メーカーの江淮汽車集団とファーウェイが共同開発する次世代の高級スマートEVの生産拠点になる予定だ。
同じく中堅自動車メーカーの奇瑞汽車は、早ければ2023年中に新開発の高級EVを発売する計画だ。その開発には、ファーウェイの華為智選方式を採用することが決まっている。
パートナーは完成車メーカーに限らない。中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は2022年12月、ファーウェイと相互協力の覚書に調印。ファーウェイは華為智選方式で開発するEVに、CATL製の車載電池を優先採用する。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は2月22日
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