中国のスマートフォン大手の栄耀(Honor)が、ヨーロッパ市場への進出を本格化させている。同社は2月27日、スペインのバルセロナで開幕した世界最大級のモバイル関連見本市「MWC」で、新たなフラッグシップ機種の「Magic5」と「Magic5 Pro」を発表した。
ヨーロッパ市場での希望小売価格はMagic5が899ユーロ(約12万9900円)から、Magic5 Proが1199ユーロ(約17万3300円)からだ。栄耀は同時に、中国で2022年11月に発売した(画面を折り畳める)フォルダブル・スマホの「Magic Vs」も(ヨーロッパ市場向けに)お披露目した。その希望小売価格は1599ユーロ(約23万1100円)からとなっている。
「2022年は独立後の栄耀が海外市場進出に乗り出した元年だった。2023年はヨーロッパ市場開拓の年になる。これから数年間、ヨーロッパ市場で毎年倍増の成長を実現したい」。栄耀CEO(最高経営責任者)の趙明氏は2月28日、バルセロナで財新を含む複数メディアの取材に応じ、そう意気込みを語った。
(訳注:栄耀はもともと華為技術[ファーウェイ]のサブブランドで、中低価格帯のスマホを主力にしていた。しかし、ファーウェイはアメリカ政府の制裁により半導体の調達が困難になったことから、2020年11月に栄耀を事業部門ごと分離独立させた)
通信事業者との協業に期待
栄耀は独立後の2年間、中国の国内市場での販売ネットワーク強化を(海外市場の開拓よりも)優先してきた。市場調査会社のIDCのデータによれば、栄耀は2022年の中国スマホ市場で18.1%のシェアを獲得。首位のvivo(ビボ)の18.6%に肉薄する第2位に躍進した。
中国で基盤を固めた栄耀は、海外市場への本格進出の機が熟したと判断。そのうちヨーロッパ市場でブランドを確立するための戦略について、趙氏は次のように語った。
「われわれはヨーロッパでハイエンド路線を取る。ここでは(アップルなどの)競合企業がハイエンド機種で稼いだ利益を中低価格帯の市場につぎ込み、過当競争に持ち込むからだ。中低価格帯の機種が主力のメーカーは生き残れない」
趙氏はさらに、ヨーロッパ市場では各国の通信事業者(の販売店)がハイエンド機種の主要な販売ルートになっていることに触れ、栄耀と通信事業者との協業に期待を寄せた。
「ヨーロッパのハイエンド機種の市場ではアップルが約8割のシェアを握り、(競争がないために)イノベーションのペースが落ちている。この状況を変えるため、ヨーロッパの通信事業者は(消費者の購買意欲を喚起する観点から)栄耀がチャレンジャーとしての役割を果たすことを望んでいるはずだ」(趙氏)
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は3月1日
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