ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループの中国法人(ベンツ中国)は、中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)および資源リサイクル大手の格林美(GEM)と手を組み、「クローズドループ」と呼ばれる車載電池のリサイクル体制の構築に乗り出す。
2月27日、3社が提携の覚書に調印したことをGEMが発表した。その具体的な内容は、ベンツ中国がEV(電気自動車)から取り外した使用済み車載電池をGEMが引き取り、リチウム、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの金属を回収・再生してCATLに供給。CATLが再生原料を使って車載電池を製造し、ベンツ中国がそれをEVに搭載するというものだ。
(訳注:車載電池のクローズドループ・リサイクルは、自動車メーカーが自社製品から回収した使用済み電池を再生し、自社製品に再び搭載する取り組みのこと)
中国の自動車市場では2015年頃からEVの普及が加速し、車載電池の使用量が急増した。民生証券の調査レポートによれば、車載電池の寿命は4~8年であることから、2023年以降に使用済み電池の回収量の大幅な増加が見込まれる。
再生原料で新たな電池を生産
使用済み電池のリサイクルには、主に2つの方法がある。回収時の性能低下の度合いが小さく、一定以上の残存容量がある場合は、蓄電システム向けなどに再利用する。一方、残存容量が(再利用の)基準に満たなければ、分解して金属を回収・再生し、新たな車載電池の製造に利用する。
自動車メーカー、電池メーカー、リサイクル企業は、これまでも電池リサイクルにそれぞれ取り組んできた。例えばCATLは、すでに8年前に広東省の電池リサイクル企業を買収し、自社のサプライチェーンに取り込んだ。
だが、3者の垣根を越えた協業はあまり進んでいないのが実態だった。例えばGEMは、リサイクル専門企業として電池リサイクルの高度なノウハウを持つ。しかし、使用済み電池の回収ルートや再生した原料の販路開拓などの面では課題を抱えていたと、前出の民生証券のレポートは指摘する。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は2月28日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら