中国の民生用ドローン(無人機)最大手の大疆創新科技(DJI)は2月28日、同社の農業用ドローン部門の「大疆農業(DJIアグリカルチャー)」が、果物農家向けの事業展開を拡大すると発表した。江西省のネーブルオレンジの農園にモデル拠点を開設。ドローンを応用した栽培効率化や具体的な作業方法などを、DJIのエンジニアが果物農家に実地指導する。
小麦やトウモロコシ、綿花など作付面積が広い大規模農場では、ドローンはすでに(種蒔き、施肥、薬剤散布などの)農作業に不可欠なツールになった。この分野での普及率は飽和に近づいている。だが果樹園に関しては、ドローンの活用はまだ普及段階に入ったばかりだ。
DJIアグリカルチャーにとって、事業の持続的成長は新分野を不断に開拓できるかどうかにかかっている。その意味で、果樹園は次なる「ブルー・オーシャン(未開拓の成長市場)」となる可能性を秘めている。
「中国国内の果樹園の総面積は1億8000万ムー(約1200万ヘクタール)に上る。仮にその3割にドローンを普及させれば、それだけで100億元(約1964億円)規模のビジネスが生まれる」。DJIアグリカルチャーの担当者は、財新記者の取材に対してそう意気込みを語った。
最新機種は50kgを積載可能
だが、果樹園へのドローンの応用は一筋縄ではいかない。果物には多数の品種があり、栽培方法や生育環境の違いが大きいからだ。品種によっては薬剤の散布に微妙なさじ加減が必要で、失敗すれば果実の品質低下に直結する。業界関係者の間では、「巨大な潜在需要がある反面、難易度が高いビジネス」と見る向きも少なくない。
そんななか、DJIアグリカルチャーが注力しているのが柑橘類、マンゴー、ライチなどへの薬剤散布だ。初期の農業用ドローンは(散布用の薬剤の)積載能力が小さかった。さらに、プロペラのダウンウォッシュ(訳注:下方に吹き下ろされる風)が小さく、霧状に噴射した薬剤を果樹の上層から下層まで(ムラなく)行き渡らせるのが難しかった。
だが、最近のドローンは積載能力が高まり、ダウンウォッシュも強力になった。そのため、果樹に対して薬剤を大規模かつ効果的に散布することが可能になった。例えば、DJIアグリカルチャーが2022年11月に発表した最新機種「T50」は、積載可能重量が最大50キログラムに達する。
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は3月1日
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