「3月の売上高が急減」台湾半導体TSMCに漂う不安 1~3月の累計は事前予想の下限値に届かず

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微細加工技術で世界最先端を走るTSMCの業績にも、需要低迷の影が差し始めた。写真はアメリカのアリゾナ州に建設中の新工場(TSMC提供)

半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は4月10日、3月の月次売上高を開示した。

1月と2月の売上高を合算した2023年第1四半期(1~3月期)の売上高は5086億3300万台湾ドル(約2兆2240億円)と、前年同期比では3.6%増加したものの、直前の2022年10~12月期比では18.7%の減少となった。

TSMCの売上高の推移

注目すべきなのは、1月の売上高が前年同月比16.2%増の2000億5100万台湾ドル(約8747億円)、2月が同11.1%増の1631億7400万台湾ドル(約7135億円)と好調だったのに対し、3月の売上高は1454億800万台湾ドル(約6345億円)と同15.4%の減少に転じたことだ。

単月の売上高としては、これは2019年3月以降で最大の落ち込みだ。

市場関係者にとって「サプライズ」

それだけではない。TSMCは2023年1月12日に開催した2022年10~12月期の決算説明会で、2023年1~3月期の売上高について167億~175億ドル(約2兆2281億~2兆3349億円)との予想値を示していた。しかし上述の(台湾ドル建ての)実績値を直近の為替レートで換算すると、予想値の下限値に届かなかった計算になる。

「TSMCの1~3月期の売上高が予想値の下限を割り込んだのは、市場関係者にとってサプライズだった」。市場調査会社カウンターポイント・リサーチの半導体担当アナリストのブレイディ・ワン氏は、財新記者の取材に対してそうコメントし、次のように続けた。

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