中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は5月18日、2023年1~3月期の決算を発表した。同社は3月28日にグループ傘下の事業の6分割を発表しており、今回が旧体制での最後の決算となった。
1~3月期の売上高は2082億元(約4兆907億円)と前年同期比2%の増加にとどまり、アナリストの事前予想の平均値をわずかながら下回った。一方、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は252億8000万元(約4987億円)と同60%増加し、アナリスト予想を上回った。
決算発表と同時に、アリババは事業分割の進捗状況も公表した。6つの事業グループは、独自の董事会(取締役会に相当)の設置と役員の選任を完了。そのうち、クラウドサービスなどの「クラウド・インテリジェンス・グループ」は先陣を切って新規株式公開(IPO)の準備に入った。
また、物流事業の「菜鳥(ツァイニャオ)スマート・ロジスティクス・グループ」とネットスーパーの「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」が、IPOの計画策定に着手。越境ECなどの「グローバル・デジタル・コマース・グループ」は、グループ外からの資金調達に向けて動き出した。
そんななか、1~3月期の業績から改めて浮き彫りになったのが、アリババの屋台骨である国内EC事業の成長力不足だ。
「タオバオ」「Tモール」のGMV減少
「中国の国内消費は(ゼロコロナ政策の緩和を受けて)徐々に回復しつつある。だが、消費者の購買意欲と消費能力の全面回復にはまだ時間がかかる。と同時に、国内市場では消費者向けECプラットフォーム同士の競争が激しさを増している」
アリババCEO(最高経営責任者)の張勇氏は、(1~3月期の売上高がアナリスト予想に届かなかったことについて)決算説明会でそう釈明した。
しかし、国内EC事業のパフォーマンスは業界全体の平均値を下回っているのが実態だ。中国国家統計局のデータによれば、1〜3月期の全国のオンライン小売販売額は前年同期比8.6%増加した。
それに対して、アリババの主力ECプラットフォームである「淘宝(タオバオ)」と「天猫(Tモール)」の1〜3月期の実績は、代金の未払い分を除いた実物商品のGMV(流通取引総額)ベースで前年同期比1桁台半ばのマイナスを記録。その結果、アリババの最大の収益源である顧客管理収入(販売手数料収入と広告収入の合計)は同5%の減少となった。
「今後1〜2年をかけて、ユーザー、出店者、テクノロジーに対する投資を増やし、出店者の(オンラインストアの)運営コストを引き下げていく。それを通じて、ユーザーによりよい価格、品揃え、コンテンツ、サービスを提供したい」
事業分割後の国内EC事業を束ねる「淘宝天猫コマース・グループ」の戴珊CEOは、決算発表会で巻き返しへの意気込みをそう語った。
(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は5月19日
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