中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は5月17日、2023年1〜3月期の決算を発表した。
同四半期の売上高は1499億9000万元(約2兆9381億円)と前年同期比11%増加し、アナリストの事前予想を上回った。一方、投資損益やストックオプションなどを差し引いた非国際会計基準(非IFRS)の純利益は325億4000万元(約6374億円)と、前年同期比27%増加したものの事前予想には及ばなかった。
売上高を2桁増に押し上げた原動力は、オンラインゲーム事業とオンライン広告事業の回復だ。1〜3月期のオンラインゲーム事業の売上高は483億元(約9461億円)と前年同期比11%増加し、3四半期続いたマイナス成長から脱却を果たした。なかでも(中国政府の規制強化などの影響で落ち込んでいた)中国国内市場のゲーム売上高が前年同期比6%の増加に転じたことは、特筆に値する。
1〜3月期のオンライン広告事業の売上高は210億元(約4114億円)と、前年同期比17%の伸びを記録した。「日用品、電子商取引(EC)、金融、ヘルスケア、旅行などの各業界で、広告出稿の回復ぶりが目立つ」。テンセントのCSO(最高戦略責任者)を務めるジェームズ・ミッチェル氏は、決算説明会でそう述べた。
クラウドサービスを大幅値下げ
その他の事業分野に目を向けると、フィンテック・クラウド事業の1〜3月期の売上高は487億元(約9540億円)と、前年同期比14%増加した。フィンテックに関しては、中国国内の個人消費回復の追い風を受けたキャッシュレス決済事業が好調だった。さらに、クラウドサービスの販売増加で法人サービスの売り上げも前年同期比プラスに転じた。
留意すべきなのは、決算発表の前日の5月16日、テンセントがクラウドサービスの幅広い値下げを発表したことだ。実施は6月1日からで、一部のアプリケーションの値下げ幅は40%に上る。
値下げが業績に及ぼす影響について、前出のミッチェル氏は「グループ売上高に占めるクラウド事業の比率は1桁台の半ばに過ぎず、影響は軽微だ」と説明。さらに、クラウドサービスの運営コストが全体的に低下していることから、「値下げは合理的な判断」との考えを示した。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は5月18日
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