中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の業績に底打ちのサインが見えてきた。
同社は3月22日、2022年10〜12月期の四半期決算と2022年の通期決算を発表。それによれば、10〜12月期の売上高は1449億5000万元(約2兆7839億円)と前年同期比1%の増収だった。
注目すべきなのは、10〜12月期に(テンセントの出資先企業の評価額変動に伴う)関連会社への投資損益がプラスに転じたことだ。その恩恵により、非国際会計基準(非IFRS)ベースの純利益は297億1100万元(約5706億円)と、前年同期比19%増加した。この項目が2桁増を記録したのは、2021年7〜9月期以来のことだ。
なお、2022年の通期業績は、売上高が前年比1%減の5545億5000万元(約10兆6506億円)。非IFRSベースの純利益が同7%減の1156億5000万元(約2兆2212億円)だった。
投資事業以外の本業に目を移すと、稼ぎ頭の1つであるオンラインゲーム事業は、引き続き中国政府の規制強化の影響を受けている。未成年者を(ゲーム依存症から)保護する規制や新たなゲームタイトルの不足が響き、10〜12月期の国内ゲーム事業の売上高は279億元(約5358億円)と、前年同期比6%減少した。
対話型AIの早期投入には慎重
その一方、復調が目立ったのが広告事業だ。10〜12月期のオンライン広告事業の売上高は247億元(約4744億円)と、前年同期比15%増加。2022年7〜9月期までの5四半期連続の減収に終止符を打った。
「オンライン広告の顧客は、2023年の(中国国内の)個人消費について慎重ながらも楽観的に見ている。ここ数カ月の間に、大手EC(電子商取引)企業も広告出稿を再開した」。テンセントのCSO(最高戦略責任者)を務めるジェームズ・ミッチェル氏は、決算説明会でそう述べた。
決算説明会の質疑応答では、世界的に注目を集めているAI(人工知能)の技術開発競争についての質問も出た。テンセント総裁(社長に相当)の劉熾平氏は、それに対して「AIはわが社のビジネス全体の成長を加速する推進力になり得る。今後は多くの経営資源を投入していく」と答えた。
だが同時に、劉氏は事業に対するAIの応用を慎重に進める考えも示した。
「チャットボット(訳注:ChatGPTに代表される対話型AI)は数ある次世代プロダクトの1つだ。わが社が至急の対応をとる必要はなく、むしろ長期的視点で取り組んでいく。(一般顧客向けの)最初のプロダクトは、焦らずに数世代のバージョンアップを重ねてリリースしたい」
(財新記者:銭童)
※原文の配信は3月23日
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