米ゲーム大手「中国向けサービス」一時停止の訳 預託金や売り上げ配分をめぐり提携先と対立か

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ネットイースは、アクティビジョン・ブリザードの人気ゲームを14年前から中国で配信してきた(写真は「ワールドオブウォークラフト」の中国向け公式ウェブサイト)

アメリカのゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードが、14年にわたり提携関係にあった中国のオンラインゲーム大手、網易(ネットイース)との配信ライセンス契約を打ち切ることがわかった。

ネットイースは「ワールドオブウォークラフト」や「ハースストーン」など、アクティビジョン・ブリザード傘下のブリザード・エンターテインメントが開発した多数の人気タイトルを中国国内で配信してきた。ところがアメリカ東部時間の11月16日、アクティビジョン・ブリザードは声明を出し、ネットイースとの現行契約が2023年1月23日に終了するのに伴い、中国向けサービスを一時停止すると発表した。

その理由についてアクティビジョン・ブリザードは、同社とネットイースとの間で「ブリザード・エンターテインメントの経営理念、並びにゲームのプレイヤーや従業員に対するコミットメントに合致した契約更新の合意に至らなかった」と説明した。これは現行契約の終了と同時に、中国のプレイヤーがブリザード・エンターテインメントのゲームをプレーできなくなることを意味する。

一方、ネットイースは北京時間の11月17日に声明を出し、契約打ち切りの事実を認めた。同社によれば、契約継続に向けてアクティビジョン・ブリザードとの交渉に最大限の努力を尽くしたものの、「いくつかの重要な条項について合意できなかった」という。

注目されるテンセントの動向

ネットイースは2008年にブリザード・エンターテインメントと最初の契約を結んで以降、中国市場向けのゲーム配信権を多数獲得してきた。海外ゲームのライセンス実務に詳しい複数の関係者は、契約打ち切りに至った背景について「(契約更新時に支払う)預託金の金額や売り上げの配分比率などをめぐり、双方が主張の隔たりを埋められなかったのではないか」と推測する。

注目に値するのは、アクティビジョン・ブリザードは中国のオンラインゲーム最大手の騰訊控股(テンセント)とも浅からぬ関係にあることだ。両社は2012年7月、長期的な戦略パートナーの関係を築くと発表。それを機に、テンセントは「コールオブデューティーオンライン」の中国向け独占配信権を獲得した。

本記事は「財新」の提供記事です

さらに2016年11月、テンセントはアクティビジョン・ブリザードの株式の4.99%を取得したと発表。現在も株式を保有し続けている。

ネットイースの配信ライセンスが切れた後、テンセントがその取得に動く可能性はあるのか。財新記者はテンセントに取材を申し込んだが、コメントは得られなかった。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は11月17日

財新 Biz&Tech

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