中国アリババ、主力の「EC事業」が伸び悩む事情 加盟店からの手数料および広告収入が9%減

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アリババの業績は2022年を通じて新型コロナの流行に振り回され続けた。写真は浙江省杭州市の本社オフィス(同社ウェブサイトより)

中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は2月23日、2022年10~12月期の決算を発表した。同四半期の売上高は2477億5600万元(4兆8414億円)と、前年同期比2%の増加にとどまった。その一方、純利益は457億4600万元(約8939億円)と、前年同期の2.4倍に増加した。

アリババの業績は、2022年を通じて新型コロナウイルスの流行に振り回され続けた。四半期別の売上高の伸び率は、1~3月期が前年同期比9%増、4~6月期が同0.1%減、7~9月期が同3%増という具合に、新型コロナ流行の波に連動する格好で揺れ動いた。

10~12月期も(9月と10月は全国的な流行拡大と防疫措置強化の影響で)個人消費が低迷するなか、同業他社との競争が激化。さらに(中国政府がゼロコロナ政策を緩和した)12月には新型コロナの感染急拡大や、それに伴う物流網混乱の影響を受け、業績の回復は限定的だった。

アリババの中核事業である国内向けEC事業の状況を見ると、主力サイトの淘宝(タオバオ)と天猫(Tモール)の流通取引総額(GMV)は、10~12月期は前年同期比で1桁台半ばの減少を記録した。

「サプライチェーンの分断(で商品の生産や配送が滞ったこと)により、注文のキャンセル率が上昇した。その結果、顧客サービス関連の売上高(ECサイトの加盟店からの手数料および広告収入) が前年同期比9%減少した」。アリババCFO(最高財務責任者)の徐宏氏は、決算説明会でそう明かした。

海外事業は成長の勢いを維持

もっとも、2023年に入って新型コロナの感染拡大はピークを過ぎ、局面は変わりつつある。

「春節(旧暦の正月、今年の元日は1月22日)期間の商戦は引き続き低調だったが、経済・社会活動の正常化とともに、個人消費は勢いを取り戻しつつある。なかでもアパレル、スポーツ用品、アウトドア用品などの売れ行きが好調で、この勢いは続くと見ている」。アリババCEO(最高経営責任者)の張勇氏は、決算説明会でそう見通しを述べた。

国内事業の伸び悩みに比べて、アリババの海外事業は成長の勢いを維持している。10~12月期の海外売上高は194億6500万元(約3804億円)と、前年同期比18%増加した。なかでも東南アジアのLazada(ラザダ)、越境ECサイトのAliExpress(アリエクスプレス)、トルコのTrendyol(トレンドヨル)、パキスタンのDaraz(ダラズ)などが主力の海外小売事業は、10~12月期の売上高が146億4400万元(約2862億円)と同26%の増収を達成した。

本記事は「財新」の提供記事です

アリババの物流事業の中核を担う菜鳥(ツァイニャオ)も好調だった。10~12月期の売上高は230億2300万元(約4499億円)と、前年同期比17%増加。そのうち、アリババグループ以外の顧客の売り上げが72%を占めた。

(財新記者:楊錦曦)
※原文の配信は2月24日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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