中国の電子商取引(EC)大手の京東集団(JDドットコム)は1月30日、インドネシアとタイの現地市場向けネット通販サイト上で、2月15日をもって新規受注を停止すると発表した。3月31日にはすべてのサービスを休止する。
京東集団は2016年に東南アジア市場に進出。同年にインドネシアで、2018年にはタイでネット通販サイトの運営を開始した。同社の中国のネット通販事業は、商品の仕入れ、販売、物流を自社で手がける「直営方式」が特徴であり、東南アジアでもそれを踏襲していた。
そのため、京東集団はインドネシアでピーク時に18カ所の商品倉庫を運営し、数千人の配達員を雇用。インドネシア全土の85%の地域で商品の翌日配送を実現した。タイでは8カ所の商品倉庫を運営し、首都のバンコクの大部分で当日配送サービスを提供。さらに(大型商品の)据え付けサービス、(修理などの)アフターサービス、カスタマーサポート・サービスなども展開していた。
インドネシアやベトナムに物流団地
「わが社は物流インフラを核にした国際化戦略をとっている。東南アジアを含めて、国境を越えたサプライチェーンを支える物流インフラに経営資源を集中させる」。タイとインドネシアのネット通販事業の休止について、京東集団は財新記者の取材にそうコメントした。
同社の子会社の京東智能産業発展集団(京東産発)は、すでにインドネシアで20カ所の物流団地の投資・運営を手がけている。それらは首都ジャカルタや(工業地区の)チカランなど、製造業や自動車産業の集積地に配置されている。
インドネシアだけではない。京東産発はベトナム南部のロンアン省や北部のハイフォン市など、製造業の集積地や国際貿易港の周辺でスマート物流団地の建設に参画している。
また、同じく子会社の京東物流は、マレーシアで2カ所目の物流倉庫の建設に着手しており、現地事業の成長を支える計画だ。
「ネット通販事業(の拡大)が資金力勝負であるのと比べて、海外での物流倉庫の建設コストはそれほど高くない。しかも、京東集団が持つ(中国で蓄積した)物流倉庫運営のノウハウを導入できるため、事業の確実性を高められる」。同社の内情に詳しい関係者は、背景をそう解説した。
(財新 駐シンガポール記者:楊錦曦、楊敏)
※原文の配信は1月30日
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