中国鉱業大手、「南米スリナムの金山」を買収完了 紫金鉱業、開発権持つカナダ企業から467億円で

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紫金鉱業は買収したローズベル金山の採掘効率を改善し、投資の早期回収をもくろむ(写真は同社ウェブサイトより)

中国の国有鉱業大手の紫金鉱業は2月1日、稼働中の金山としては南アメリカ最大級の規模を持つスリナムのローズベル金山の買収手続きを完了したと発表した。

ローズベル金山は2004年から露天掘りでの採掘が始まり、2021年末までの金の累計産出量は約176トン。スリナム全土で産出される金の3分の1を占めている。紫金鉱業は2022年から2033年までの12年間に、年平均8.6トンの金を採掘する計画だ。

紫金鉱業の説明によれば、ローズベル金山の買収によって自社の金資源のリザーブと採掘規模を拡大できるほか、同金山の運営面の改善、とりわけ採掘効率の向上を通じて、投資の回収を早めることが期待できるという。

カナダ政府の審査対象にならず

ローズベル金山の採掘権益の大部分は、カナダの資源開発会社のアイアムゴールド(IMG)が保有していた。紫金鉱業が2022年10月、同社の海外子会社を通じてローズベル金山の運営会社を3億6000万ドル(約467億円)で買収することで、IMGと合意した。

その具体的な内容は、IMGが持つ運営会社のクラスA株式の95%と、クラスB株式の100%を紫金鉱業が買い取るというものだ。なお、クラスA株式の残りの5%はスリナム政府が保有している。(訳注:クラスA株式とクラスB株式は付与される議決権などが異なる種類株式)

IMGはローズベル金山のほか、西アフリカのブルキナファソのエサカーヌ金山とカナダのケベック州のウェストウッド金山で採掘を行っている。さらに、カナダのオンタリオ州でコートゴールド金山を開発中だ。

本記事は「財新」の提供記事です

カナダ政府は2020年以降、重要な鉱物資源(を保有するカナダ企業)に対する外国企業の投資審査を厳格化した。2021年にはそれを国家安全保障審査の対象に組み入れ、2022年12月には銅、ニッケル、コバルト、リチウム、レアアースなど31種類の鉱物を重要鉱物リストに指定した。

だが、このリストのなかに金は含まれておらず、紫金鉱業によるローズベル金山の買収はカナダ政府の審査対象にならなかった。

(財新記者:施毅敏、羅国平)
※原文の配信は2月2日

財新 Biz&Tech

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