香港では出生率の低下や新型コロナウイルスの流行、移民増加などの影響が重なり、子どもの人口が右肩下がりに減少。その直撃を受けた幼稚園の経営が厳しい苦況に陥っている。
教育機関の職員の団体である香港教育工作者聯会(教聯会)が2022年12月に実施したアンケート調査によれば、回答に応じた幼稚園の2022年度の新入園児数は平均で前年の4分の3に減少。9割近くの幼稚園が2023年度の園児募集を楽観しておらず、減少が続くと見ていることがわかった。
幼稚園の園児不足の主因は出生率の低下だ。香港政府統計局のデータによれば2021年の出生数は約3万7000人と、2020年の約4万3000人から約6000人も減少。合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に生む子どもの数)は0.77と、過去30年間の最低値を更新した。
コロナ禍で越境通学も減少
「過去2年間にも、園児不足による幼稚園の倒産が続いてきた。今後はその波がさらに高まり、1年後には100カ所以上の幼稚園が廃業を余儀なくされるかもしれない」。教聯会の副主席を務める林翠玲氏は、先行きに対する強い危機感をあらわにした。
教聯会のアンケート調査では園児減少の要因の1つとして、35%の幼稚園が(中国本土から香港に通学する)越境児童の減少を挙げた。香港政府教育局のデータによれば、香港の幼稚園、小学校、中学校に越境通学する児童・生徒は約2万7000人にのぼる。
新型コロナの流行が始まった2020年以降、香港と中国本土の境界が事実上閉鎖され、越境通学は困難になった。そのため、中国本土に住む越境通学の児童・生徒は、3年近くにわたって香港での対面授業が受けられなかった。
しかし、香港と中国本土の往来が(2月6日に)正常化するのに伴い、香港政府教育局は2月下旬から幼稚園児と小学生の越境通学者への対面授業を再開するとしている。
(財新 駐香港記者:朱俊熹,文思敏)
※原文の配信は2月2日
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