中国リチウム大手「豪資源開発会社」の買収発表 豪政府の外国投資審査の判断に注目集まる

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外国企業による鉱山開発権益への投資に対し、各国政府は審査を厳格化している。写真は天斉鋰業が開発権益を持つオーストラリアのリチウム鉱山(同社ウェブサイトより)

中国のリチウム大手、天斉鋰業(ティエンチー・リチウム)のオーストラリア子会社が、現地のリチウム資源開発会社の買収計画に合意。その取引がオーストラリア政府の外国投資審査委員会(FIRB)の審査を通過するかどうかに、中国の市場関係者の注目が集まっている。

天斉鋰業は1月9日、子会社のティエンチー・リチウム・エナジー・オーストラリア(TLEA)が、オーストラリア証券取引所に上場するエッセンシャル・メタルズの発行済株式の100%を買い取ると発表した。買収総額は1億3600万オーストラリアドル(約124億円)を見込み、TLEAが全額を自己資金の現金で支払うとしている。

(訳注:TLEAは天斉鋰業が経営権の51%、オーストラリアの資源開発会社IGOが同49%を保有する合弁会社。同国最大級のリチウム鉱山「グリーンブッシュ鉱山」など、複数の大型鉱山の開発権益を持つ)

エッセンシャル・メタルズは、オーストラリアにリチウム鉱山1カ所、金鉱山2カ所の開発権益を保有する。西オーストラリア州にある「パイオニアドーム鉱山」のリチウム埋蔵量は酸化リチウム換算で推定12万9000トンに上るが、現時点ではまだ(商用採掘前の)探査段階だ。

認可されれば中国企業の投資加速も

自動車のEV(電気自動車)シフトが進むなか、車載電池の主原料であるリチウムやニッケルをめぐって、新たな鉱山の開発権益への投資が世界各地で盛んになっている。その一方、鉱山がある国の政府はこれらの「戦略資源」を以前にも増して重視し、外国企業による投資や買収の審査を厳格化している。

TELAは親会社が中国企業であるものの、オーストラリアで設立・登記され、事業を行っている企業だ。そのため中国の市場関係者は、TELAが主体となり提起したエッセンシャル・メタルズの買収計画に対し、FIRBがどのような判断を示すかに注目している。

本記事は「財新」の提供記事です

財新記者の取材に応じたアナリストの解説によれば、仮にFIRBが買収計画を認めた場合、中国企業がオーストラリアの資源に投資するための新たなルートが開かれ、投資が加速する可能性があるという。

なお、天斉鋰業は1月9日の発表のなかで、エッセンシャル・メタルズの買収実現には「オーストラリア証券投資委員会および現地の裁判所の審査・承認が必要」だと注意を喚起した。また、FIRBの関与については「審査を(主体的に)申請する必要はないが、報告義務については不明確であり、FIRBによる介入の可能性も排除できない」としている。

(財新記者: 盧羽桐)
※原文の配信は1月10日

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