国際海運大手のA.P.モラー・マースクは2月13日、アジアと北アメリカの主要コンテナ港を結ぶ振り子配船サービス「TP20」の運航を休止すると発表した。コンテナ輸送の需要が低迷し、回復時期が見通せないためだ。
振り子配船サービスとは、航路の起点から複数の港を経由して終点に向かい、終点で折り返して同じルートを起点まで戻る航海を繰り返す運航形態のことである。
TP20は、A.P.モラー・マースクが2021年6月に新規運航を開始した週次の定期航路で、1便当たりのコンテナ輸送能力は4600TEU(20フィートコンテナ換算)。インドネシアのジャカルタ港からベトナムのブンタウ港、中国の上海港と寧波港、韓国のプサン港を経由し、太平洋を跨いでアメリカのモービル港、ニューヨーク港に至るルートを往復していた。
同業他社も休止や減便
A.P.モラー・マースクがアジアと北アメリカを結ぶコンテナ航路を休止するのは、これが初めてではない。同社は2022年10月、ベトナムのブンタウ港から中国の塩田港、寧波港、上海港を経由してアメリカのヒューストン港とノーフォーク港に向かう振り子配船サービス「TP28」を、TP20に統合。それにより、週当たり4500TEUの輸送力を削減した。
今回のTP20の休止により、アジア-北アメリカ間でA.P.モラー・マースクが運航する振り子配船サービスは「TPX」を残すのみとなった。この航路は中国の上海港、寧波港、塩田港とアメリカのシアトル港、ロサンゼルス港を結び、週当たり5500TEUの輸送力を持つ。
コンテナ輸送の需要低迷を理由に定期航路の休止に踏み切るケースは、A.P.モラー・マースクだけに限らない。
欧米諸国では2022年後半から(インフレや景気後退の影響で)個人消費が落ち込み、アジアからの輸入商品の在庫が急増。そのあおりでコンテナ輸送の需要が落ち込み、運賃も下落した。そんななか、同業他社もアジア―北アメリカ航路を次々に休止・減便しているのが実態だ。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は2月22日
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