低価格販売が強みの中国の電子商取引(EC)大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)が海外進出を急加速させている。すでにアメリカとカナダで展開している海外市場向け越境ECアプリ「Temu(テム)」のサービスを、3月13日からオーストラリアとニュージーランドで開始する。
財新記者の取材に応じた拼多多の関係者によれば、2023年後半にはTemuをヨーロッパ各国でも展開する準備を進めているという。なお、財新記者の問い合わせに対して拼多多はコメントしなかった。
Temuは、拼多多が越境ECのプラットフォームを開発・提供し、そこにテナントとして出店する企業が(海外の消費者に対して)商品を販売するビジネスモデルをとる。出店企業はTemuのシステムに商品情報や価格を登録するとともに、商品を(拼多多が管理する)中国国内の倉庫に前もって搬入しておくだけでよい。
その後は(Temu上で取引が成立した)商品が購入者の手元に届くまで、通関手続きや輸送手配などの手続きを拼多多が代行する。海外の消費者は商品到着を確認した翌日に代金を決済し、取り引きが完了する仕組みだ。
「スーパーボウル」にCM大量投入
拼多多は、中国で成功した激安路線やSNS(社交サイト)をフル活用したマーケティング手法を、Temuの海外展開でも踏襲している。この戦略は、アメリカ市場ですでに成果を上げ始めている。
2022年9月1日に開始したアメリカ向けサービスでは、1セット2ドル (約275円)未満のブルートゥース・イヤフォンや1足4ドル(約549円)のスポーツ・シューズ、1個1ドル(約137円)未満の各種日用品など、オープニング期間の目玉商品をふんだんに取りそろえた。
さらに、オープニング期間中は送料を無料にし、登録ユーザーが新規ユーザーを紹介するとキャッシュバックを提供するなど、大盤振る舞いのキャンペーンを繰り広げた。
2023年2月14日には、アメリカ最大級のスポーツイベントである(アメリカンフットボールの)「スーパーボウル」のテレビ中継にTemuのコマーシャルを大量投入。「大富豪のように買い物しよう」のキャッチフレーズで消費者の耳目を引き、知名度を一気に向上させた。
その結果、アメリカのスマートフォン向けアプリストアではTemuのダウンロード数が急上昇。Temuの担当マネジャーによれば、2023年2月23日までの累計ダウンロード数は4000万回を突破したという。
(財新記者:楊錦曦)
※原文の配信は3月9日
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