オランダ政府は、特定の半導体製造装置の輸出規制を強化する方針を固めた。同国の外国貿易・開発協力相を務めるリースュ・スフレイネマーヘル氏が3月8日、上院議長に宛てた書簡の中で明らかにした。新規制は2023年の夏までに公表することを目指している。
スフレイネマーヘル氏の書簡によれば、新規制には3つの戦略的目標がある。第1に、オランダ製品が軍事目的や大量破壊兵器製造などの好ましくない行為に用いられるのを防止すること。第2に、(特定の国や市場に対する)不必要で長期的な依存を防止すること。そして第3に、オランダの技術面での優位性を守ることだ。
なお、この書簡のなかに中国についての言及はない。輸出規制の対象に追加される技術に関しては、スフレイネマーヘル氏は「最先端のDUV(深紫外線)露光技術と成膜技術」を挙げ、次のように述べた。
「規制強化が(オランダ企業の)バリューチェーンの不必要な破壊を引き起こさないよう、焦点をできる限り絞り込む」
中国の技術力向上に痛手
オランダに本社を置く半導体製造装置メーカーのASMLは、シリコンウエハー上に微細な電子回路を焼き付ける露光システムの最大手で、技術面でも最先端を走る。同社はスフレイネマーヘル氏の書簡に関する声明を直ちに発表し、「今後は最先端のDUV露光システムの輸出に許可が必要になる」との見解を示した。
ここで言う「最先端」の定義について、オランダ政府の解釈はまだ明らかにされていない。だがASMLの声明によれば、規制強化の対象は同社が2020年に発売したDUV露光システム「TWINSCAN NXT:2000i」と、その後継機種になる見込みだという。
言い換えれば、中国の半導体メーカーが今後も購入できるDUV露光システムは、1世代前の「TWINSCAN NXT:1980Di」および(同レベルの)後継機種が技術的上限になるということだ。ASMLは「成熟したプロセス技術のユーザーの需要は満たされる」と釈明するが、中国の技術力向上の観点では痛手は避けられない。
中国の半導体技術の研究機関では、かつてTWINSCAN NXT:1980Diを利用して回線幅7nm(ナノメートル)以下のチップ製造の可能性を探ったことがある。
だが半導体メーカーの製造現場では、技術的な難度や製造コストの高さ、歩留まりの低さなどの要因から、同機種は主に10nm以上のチップ製造に使われているのが実態だ。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は3月9日
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