中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が、創業後の24年間で最大規模の組織再編に乗り出した。グループ傘下の事業を6分割し、それぞれの経営に高い独立性を与える。
3月28日、アリババの董事会主席兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める張勇(ダニエル・チャン)氏が、全社員に宛てた電子メールのなかで明らかにした。
6分割後の事業の区割りは、国内EC事業の「淘宝天猫(タオバオ・Tモール)コマース・グループ」、クラウド事業などの「クラウド・インテリジェンス・グループ」、ネット出前など生活関連サービスの「ローカル・サービス・グループ」、物流事業の「菜鳥(ツァイニャオ)スマート・ロジスティクス・グループ」、越境ECなどの「グローバル・デジタル・コマース・グループ」、動画配信などの「デジタル・メディア・アンド・エンターテインメント・グループ」とアナウンスされた。
各事業グループは独自の董事会(取締役会に相当)を設置し、その指名を受けたCEOが(事業グループの)業績に対する全責任を負う。さらに、事業グループ独自の資金調達や新規株式公開(IPO)も視野に入れる。
「新たなインセンティブ必要」
上場企業としての「阿里巴巴集団」は、グループ持ち株会社に移行する。張氏はその経営トップとして、引き続きグループ戦略全体を統括すると同時に、クラウド・インテリジェンス・グループのCEOを兼務する。
「組織(の動き)を機敏にし、意思決定の経路を短縮し、(市場の変化に対する)反応を素早くする。それが今回の変革の根本的な目的だ」。張氏は社内向けのスピーチのなかで、事業分割の狙いをそう説いた。
大がかりな組織再編に踏み切った背景には、アリババが直面する厳しい現実があるとみられている。同社の祖業で稼ぎ頭のEC事業は、ライバルとの激しい競争に晒されて収益力が低下している。急拡大してきたクラウド事業も、ここに来て成長率が鈍化。アリババの直近の時価総額は、ピーク時の9000億ドル(約118兆円)近くから7割以上縮小してしまった。
財新記者の取材に応じたアリババ関係者は、事業の6分割により独占禁止法への抵触リスクを下げられるほか、各事業グループの(採算面での)一本立ちに向けた動機づけになると説明する。
「アリババでは、前回のストックオプション付与からかなりの年月が過ぎた。新世代の経営陣と社員の(やる気を引き出す)ため、新たなインセンティブが必要だ」と、この関係者は語った。
(財新記者: 包雲紅、屈運栩)
※原文の配信は3月28日
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