中国の国有不良債権受け皿会社の中国華融資産管理(華融資産)で、2021年に約1000億元(約1兆9250億円)の巨額損失が露呈してから1年半余り。中国財政省はこのほど、世界4大会計事務所の1つで華融資産の監査法人を(2019年まで)務めていたデロイト トウシュ トーマツの中国法人(デロイト中国)に対し、当時の会計監査に問題があったとして、業務の一時停止を含む厳しい処罰を科した。
【2023年4月6日16時50分追記】初出時、日本円換算に誤りがありましたので、上記のように修正しました。
「調査の結果、華融資産では2014年から2019年にかけて(組織の)内部統制とリスク管理が有効に機能せず、財務情報が実態と乖離するなどの深刻な問題が生じていた。そんななか、デロイト中国は華融資産の事業実態への注目を怠り、実際の資産状況の把握に至らず、十分かつ適切な証拠を得ないまま会計監査を実施し、その対応には重大な欠陥があった」
財政省は3月17日にウェブサイトで開示した行政処分の通知書のなかで、デロイト中国の監査姿勢を厳しく批判した。
通知書によれば、財政省は華融資産の財務情報の真実性とデロイト中国の会計監査の適切性に関する調査に(華融資産の巨額損失が明るみに出た)2021年から着手。その結果、中国会計法や中国公認会計士法などの法令に基づく行政処分を2023年3月15日付で決定した。
金融機関向け監査業務に打撃
その内容を見ると、財政省は華融資産以上にデロイト中国の問題をより深刻に受け止めたことがわかる。華融資産に対する処罰は、同社および関連会社7社に対してそれぞれ10万元(約193万円)、合計80万元(約1540万円)の罰金を科すものだった。
一方、デロイト中国に対しては(上海の)本部に対する警告処分に加えて、(華融資産の会計監査を担当した)北京事務所の3カ月間の業務停止、(華融資産の会計監査に関わる)北京事務所の違法所得の没収、さらに総額2億1190万4400元(約41億円)の罰金支払いを命じた。
「当事務所は財政省の調査に全面的に協力してきた。処罰の決定を尊重し、受け入れる」。財政省の通知書が開示された後、デロイト中国はそのようなコメントを発表した。
財政省が定めるガイドラインは、会計事務所が過去3年以内の法令違反により関係当局から業務停止、違法所得の没収、罰金などの行政処分を受けた場合、金融機関向けの会計監査業務に従事することを認めていない。今回の処罰は、デロイト中国が注力してきた中国の金融機関向け会計監査の業務拡大に、深刻な影響を及ぼしそうだ。
(財新記者: 范浅蝉)
※原文の配信は3月18日
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