中国の太陽光パネル大手の隆基緑能科技(ロンジ)は、クリーンエネルギー事業を手がけるアメリカのインベナジーと共同で、オハイオ州に年間生産能力5GW(ギガワット)の太陽電池モジュール工場を建設する。
インベナジーが設立したプロジェクトの事業会社のイルミネートUSAが、3月11日、オハイオ州コロンバスの経済団体を通じて発表した。
ロンジがアメリカ本土に太陽電池モジュールの製造拠点を設けるのは、これが初めてだ。工場は4月に着工し、2023年末の生産開始を予定する。完成の暁には、太陽電池モジュールでアメリカ最大級の製造拠点の1つになる見込みだ。
イルミネートUSAによれば、プロジェクトの総投資額は6億ドル(約801億5000万円)を超える。そのうち2億2000万ドル(約293億8850万円)を投じてオハイオ州の広さ110万平方フィート(約10万2193平方メートル)の工業用建屋を買収し、生産ラインを構築する。
また、従業員として850人の新規採用を予定しており、工場着工とほぼ同時に募集を始めるという。
「インフレ抑制法」で投資ブーム
ロンジは太陽電池モジュールや(太陽光発電用の)シリコンウェハーで世界最大級の生産能力を持つ。2022年末時点の中国国内での生産能力は、太陽電池モジュールが85GW、シリコンウェハーが150GWに上る。
同社はなぜ、アメリカでの工場建設を決断したのか。背景には、アメリカ政府が太陽光パネル関連の製品や部品の製造拠点をアメリカ本土に設けるよう、企業に対して政策的働きかけを強めていることがある。それを追い風に、アメリカで新たな投資ブームが巻き起こっているのだ。
アメリカのジョー・バイデン大統領が2022年8月に署名して成立した「歳出・歳入法(インフレ抑制法)」には、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するため、今後10年間で約4000億ドル(約53兆4336億円)の予算を投じる計画が盛り込まれた。
アメリカ太陽光エネルギー産業協会(SEIA)が3月8日に発表したデータによれば、インフレ抑制法の成立後に打ち出されたアメリカ本土での太陽電池モジュールの製造計画は、合計47GWに上る。SEIAは、今後数年の間にさらに大規模な生産拠点が建設されると予想している。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は3月14日
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