中国の製造業の景況感は2月に大幅な改善を見せたが、その勢いは続かなかった。4月3日に発表された2023年3月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.0と、前月(51.6)より1.6ポイント下落。好不況の分水嶺である50ぴったりとなり、先行きに不透明感が漂っている。
3月の製造業の事業活動は、供給側と需要側の双方で回復ペースがスローダウン。供給側の指標である生産指数と需要側の指標である新規受注指数はそろって下落し、拡大基調と縮小基調のボーダーラインをわずかに上回る水準に低下した。
調査対象企業からは、ゼロコロナ政策緩和の恩恵により「顧客の引き合いや販売数量が増加した」との回答が寄せられた一方、輸出企業を中心に「販売状況は厳しい」との声も少なくなかった。
製品の分野別では消費財の販売が好調だったものの、原材料や中間製品の販売は減少に転じた。また、外需の低迷が重石になり、3月の新規輸出受注指数は再びボーダーラインを割り込んだ。
雇用は縮小基調に逆戻り
企業の景況感がまだら模様となるなか、製造業の雇用は冷え込みがぶり返している。前月に11カ月ぶりの拡大基調を記録した雇用指数は、3月は縮小基調に逆戻りした。
製造業の仕入れ価格の指標である購買価格指数は、前月まで5カ月連続で上昇した後、3月は横ばいで推移した。このことは、製造業が直面する(原材料価格やエネルギー価格の高止まりによる)高いコスト圧力が不変であることを意味している。
そんななか、需要回復の勢い不足が売り手の交渉力を弱め、コストアップの価格転嫁を妨げている。製造業の販売価格の指標である工場出荷価格指数は、前月より低下してボーダーラインを下抜けした。
「3月のデータは、新型コロナウイルスの流行期に抑制されていた需要が(ゼロコロナ政策の緩和で)短期的に解き放たれた後の、中国経済の回復基盤が弱いことを示唆している。景気の腰折れを防ぐには、内需の振興、とりわけ個人消費の底上げ(を後押しする政策)が望まれる」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は4月3日
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