中国の自動車市場で販売低迷が続いている。中国汽車工業協会が3月10日に発表したデータによれば、2月の新車販売台数は197万6000台と、数字のうえでは前年同月比13.5%増加。前月比でも19.8%の増加を記録した。
だが、これは特殊要因による見せかけだ。前年同月比の増加は、2022年2月に春節(中国の旧正月)の連休が重なり、販売店の営業日数が少なかったため。前月比の増加は、2023年1月の販売台数が(中国政府の補助金打ち切りなどの影響で)激減した反動にすぎないからだ。1月と2月の合計で見ると、販売台数は362万5000台と前年同期比15.2%減少している。
販売低迷の主因はガソリン車の人気急落だ。EV(電気自動車)を中心とする新エネルギー車は、1月と2月の合計で93万3000台が売れた。成長の勢いこそ鈍ったものの、前年同期比20.8%のプラスを維持している。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
EVメーカーが値下げ競争
とはいえ、新エネルギー車も先行きは楽観できない。アメリカのテスラは2023年1月6日、中国市場での主力車種の大幅値下げを発表。「モデル3」のベースモデルの希望価格を26万5900元(約520万円)から22万9900元(約450万円)に、「モデルY」を同28万8900元(約565万円)から25万9900万元(約509万円)に引き下げた。
これをきっかけに、EVメーカー各社は熾烈な値下げ競争に突入した。例えば中国のEV最大手の比亜迪(BYD)は、3月末までに同社の「宋Plus」シリーズを注文した顧客が88元(約1722円)を支払うと、納車時の支払いから6888元(約13万4802円)を割り引くキャンペーンを打ち出した。
「中国の自動車産業は、クルマの電動化やスマート化を進めるために多大な研究開発投資を迫られている。そのため業界の利益率は低下しており、価格競争はそれに拍車をかけることになる」。中国汽車工業協会の副秘書長を務める陳士華氏は、2月の販売データの発表会見で危機感を示し、次のように述べた。
「完成車メーカーが単純な値下げ競争に走るのは、その場しのぎの策略だ。各社は自動車産業の発展の潮流に沿った製品開発に取り組み、技術や品質、サービス、ブランド力を磨き、健全な市場競争に努めるべきだ」
(財新記者:顧昭瑋、余聡)
※原文の配信は3月11日
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