中国の国有自動車大手の東風汽車集団が、(本拠地を置く)湖北省で傘下のブランドのクルマを期間限定で大幅値下げする──。3月6日、そんな内容のポスターの画像が自動車業界に広まった。
値下げの対象には東風日産、東風ホンダ、東風シトロエンなど外国メーカーとの合弁ブランドも含まれ、「政府と企業の共同補助金」を活用したキャンペーンをうたう。なかでも東風シトロエンの上級セダン「C6」は、メーカー希望価格から9万元(約177万円)もの値引きが示された。
翌3月7日、湖北省武漢市政府の関係者と複数の自動車業界関係者が、財新記者の取材に対してキャンペーンは事実だと証言した。
値引きの原資となる補助金は、地元政府と東風汽車集団が折半で負担する。支給を希望する消費者は、3月31日までに湖北省内で対象のクルマを購入・登録し、車両の代金と諸費用を全額支払う必要がある。
東風汽車集団の本社は、武漢市の経済技術開発区にある。現時点では、補助金が(湖北省政府や武漢市政府などの)どのレベルの政府予算から捻出されるのかは明らかにされていない。
1月は6割超も販売減
今回の大幅値下げの情報が流れるやいなや、東風汽車集団の湖北省の系列ディーラーには購入希望者が殺到。売れ行きが芳しくなかった車種を含めて、あっという間に売り切れてしまった。
「C6の在庫車はなくなりました。購入を望む場合は予約金を支払っていただきます」。湖北省のある東風シトロエンの販売店は、財新記者の問い合わせに対してそう答えた。
地元政府の支援を得た異例の値下げの背景には、東風汽車集団の傘下ブランドの販売不振があると見られている。同社の2022年のグループ販売台数は277万5000台と、前年比11.2%減少した。なかでも乗用車の主力ブランドである東風日産と東風ホンダの販売台数は、前者が前年比14%、後者が同13%減少した。
さらに、エンジン車の自動車取得税の軽減措置が2022年末に打ち切られたことが、東風汽車集団の苦況に追い打ちをかけた。2023年1月のグループ販売台数は前年同月比64.4%も減少。そのうち東風日産は同72.7%、東風ホンダは同60.6%の急激な落ち込みを記録した。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月8日
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