中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は5月16日、2023年1~3月期の決算を発表した。同四半期の売上高は311億元(約6074億円)と前年同期比10%増加。非アメリカ会計基準(Non-GAAP)ベースの純利益は57億2700万元(約1119億円)と同48%の大幅な増益を記録した。
百度の四半期売上高が2桁増となったのは、1年余り前の2021年7~9月期以来のことだ。 背景には(ゼロコロナ政策の緩和により)中国経済が回復に向かうにつれて、オンライン広告の出稿が増加したことがある。1~3月期のオンライン広告事業の売上高は前年同期比6%増の166億元(約3242億円)と、1年ぶりにプラス成長に復帰した。
「旅行関連やヘルスケア関連の広告収入が大幅に伸びている。とくにヘルスケア関連の広告収入は、新型コロナ流行前の水準をすでに回復した」。百度の共同創業者兼CEO(最高経営責任者)の李彦宏氏は、アナリスト向けの決算説明会でそう述べた。李CEOはさらに、広告収入は4~6月期も増勢を維持し、伸び率は中国のGDP(国内総生産)成長率を上回るとの予想を示した。
「生成AI」をクラウド事業の柱に
クラウドサービスや自動運転技術を含む非広告事業の売上高は、1~3月期は前年同期比11%増の64億元(約1250億円)だった。2021年1~3月期の決算説明会で、李CEOは非広告事業の売上高を(投資事業などを除外した)コアビジネスの売上高の半分以上に高めるという目標を掲げた。しかしクラウド事業の成長が鈍化したことなどにより、目標の見直しを余儀なくされている。
そんななか、百度は独自開発した生成AI(人工知能)の「文心一言(アーニーボット)」を、クラウド市場でシェア拡大を図るための柱に位置づけた。李CEOによれば、文心一言の発表をきっかけに、2023年3月のクラウド事業の商談や問い合わせは前年同月の5倍以上に増えたという。
百度は中国のパブリック・クラウド市場でのシェアは第4位以下だが、AI関連サービスの基盤用途のクラウドでは業界トップを走る。李CEOは、生成AI(の普及)がクラウド・コンピューティングの需要を底上げし、百度が市場シェアを引き上げるチャンスになると考えている。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は5月17日
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