中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は2月7日、AI(人工知能)チャットボットの「ChatGPT」に似た対話型AIサービスを投入すると明らかにした。このサービスは「文心一言(アーニー・ボット)」と名付けられ、3月中に社内テストを完了して一般公開する計画だ。
百度の説明によれば、AI開発の要素技術は4つのレイヤー(階層)に分けられる。そして同社は、最下層の半導体から中間層の深層学習(ディープラーニング)や大規模言語モデルのアルゴリズム、最上層の検索などのアプリケーションに至るすべての要素技術を持つという。
ChatGPTはアメリカのAIスタートアップのオープンAIが開発し、世界的に大きな注目を集めている。スイス金融大手UBSの調査レポートによれば、ChatGPTは2022年11月30日にリリースされた後、わずか2カ月ほどで月間アクティブユーザーが1億人を突破した。
百度によれば、同社は2022年9月から文心一言の開発に着手した。百度の創業者兼CEO(最高経営責任者)の李彦宏氏は、同年12月の社内イベントで初めてChatGPTについて触れ、「このようなクールなテクノロジーを、一般の人々が求めるプロダクトに落とし込むのは極めて難しい」と発言。同社がChatGPTのようなAIチャットボットを開発しているのではないかとの臆測を呼んでいた。
「中国語の言語体系を深く理解」
ChatGPTに対しては、大規模言語モデルによりAIが(ユーザーの質問に応じて)自動生成する回答の正確さに関する(誤った回答を生成するケースがあるという)懸念が指摘されている。文心一言も同じではないかという疑問について、百度の検索アーキテクチャーの開発責任者を務める辜斯繆氏は次のように答える。
「検索サービスにAIチャットボットを組み込む場合、大規模言語モデルだけではなく、サーチエンジンの検索結果も参照して回答を生成する。そうすることで一定の(正確さの)水準を確保できると考えている」
また、大規模言語モデルは莫大な計算力(と電力)を必要とし、1つの回答を得るためのコストが極めて高い。辜氏はそれを認めたうえで、具体的なサービスに落とし込むプロセスで多くの改善の余地があるとし、「様々な方法を通じてサービスコストを大幅に低減したい」とコメントした。
なお、巨額の先行投資が求められるAI関連サービスの将来について、百度の深層学習プロダクトの責任者を務める任君氏は、1月6日に財新記者の質問に対して次のように回答していた。
「AIが生成したコンテンツが、将来は大量に使われるようになると確信している。例えばAIによる画像の自動生成は中国内外の多数の企業が手がけているが、百度には中国語の言語体系をより深く理解している強みがある」
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は2月7日
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