中国の新興EV(電気自動車)メーカーの集度汽車(ジードゥ)は1月26日、総額4億ドル(約455億円)弱のシリーズAの資金調達ラウンドを完了したと発表した。同社は中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)が主導し、中堅自動車メーカーの吉利汽車(ジーリー)との合弁により創業したことで知られる。
今回の資金調達を引き受けたのも、母体である百度と吉利の2社だ。集度汽車は2021年3月の設立時に3億ドル(約342億円)超の事業資金を獲得し、その時点の出資比率は百度が55%、吉利が45%だった。今回のシリーズAでも同じ比率で出資されたのか否かについて、集度汽車は明らかにしていない。
集度汽車は同時に、今後の事業展開のタイムスケジュールを改めて示した。まず、2022年4月に開催される北京モーターショーで初のコンセプトモデルをお披露目する。その後、量産モデルの開発を進めて2023年に発売する計画だ。この量産モデルは(特定の条件下ですべての運転操作をシステムが担う)「レベル4」の自動運転に対応するという。
自動運転の事業化は思惑通り進まず
百度は集度汽車の設立以前から、自動運転技術の開発に注力してきた。興味深いのは、百度が2017年に立ち上げた自動運転技術のオープン開発プラットフォーム「Apollo(アポロ)」のオペレーションが、集度汽車とは別々になっていることだ。
「アポロの開発チームを丸ごと集度汽車に統合することはない。両者は業務上の提携関係にあり、アポロの技術を集度汽車が利用する場合はライセンス料を支払わなければならない」。集度汽車のCEO(最高経営責任者)を務める夏一平氏は、以前そう述べていた。
市場関係者の多くは、集度汽車とアポロが統合されない背後には百度の思惑があると見ている。オープン・プラットフォームのアポロには、複数の自動車メーカーが参画している。彼らにとって集度汽車は潜在的な競合相手であり、別々に運営したほうが(余計な摩擦を招かず)アポロの推進に有利だからだ。
百度が自動運転技術の開発に着手したのは、9年前の2013年に遡る。だが、事業化の道のりは順調だったとは言いがたい。例えばアポロの構想は、社外から百度の総裁兼COO(社長兼最高執行責任者)に招聘された陸奇氏のリーダーシップで推進された。しかし、有力な自動車メーカーは関心を示さず、陸氏はわずか1年余りで百度を去る結果となった。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は1月26日
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