北京冬季オリンピックの公式マスコット「冰墩墩(ビンドゥンドゥン)」の人気が中国で過熱している。SNS(社交サイト)で人気に火が付くや、大勢の市民が一斉に関連グッズの購入に走って売り切れが続出。非公式ルートでの取引価格は定価の何倍にも跳ね上がっている。
財新記者が北京市内の複数の公式ショップを訪ねると、ビンドゥンドゥンの関連グッズの商品棚はどこも空っぽだった。北京を代表する繁華街「王府井(ワンフーチン)」の一角にあるにある公式ショップには、毎日早朝からグッズの購入希望者の長い行列ができる。だが、殺到する需要に供給がまったく追いつかない状況だ。
例えば、ビンドゥンドゥンのぬいぐるみは1日当たり100個ほどしか入荷しない。このため、ショップでは販売数を来店客1人につき1個に制限している。ぬいぐるみのほかにも記念バッジ、キーホルダー、バッグなどの関連グッズがあるが、入荷しても瞬く間に売り切れてしまうという。
極端な品薄の背景には、ビンドゥンドゥンの人気に目をつけた代理購入業者や転売屋が続々参入した影響もある。インターネット上の中古品売買サイトでは、関連グッズが定価の5倍を超える値段で取引されている。
グッズ関連企業の株価がストップ高
財新の取材に応じたある代理購入業者によれば、ビンドゥンドゥンと北京冬季パラリンピックの公式マスコット「雪容融(シュエロンロン)」が1組になった高さ10センチほどの人形セットは、定価176元(約3186円)のところ、その8.5倍の1500元(約2万7150円)前後が相場になっているという。中古品売買サイトでは、定価58元(約1050円)のキーホルダーに軒並み300元(約5430円)以上の売値がついている。
ビンドゥンドゥンの人気加熱は株式市場にも波及している。北京冬季オリンピックの公式ウェブサイトによれば、関連グッズのライセンスを授与された企業は製造業者が29社、販売業者が58社ある。そのなかに含まれる複数の上場企業の株式に買い注文が殺到し、株価がストップ高を記録した。
例えば深圳証券取引所に上場するギフト商品大手の元隆雅図文化伝播は、ビンドゥンドゥンのぬいぐるみの供給を担う3社のなかの1社だ。同社の株価は、冬季オリンピック開幕前の2022年1月28日の終値が18.48元(約334円)と年初来の最安値をつけていた。
ところが、オリンピック開幕でビンドゥンドゥンの人気が高まるとともに株価が急上昇。2月8日の終値は22.36元(約405円)と、1月末より2割以上も高い水準にある。
(訳注:元隆雅図文化伝播の株価はその後も連騰が続き、2月14日の終値は32.75元[約593円]に達した)
(財新記者:朱昊宇、関聡)
※原文の配信は2月8日
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