中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)の上級幹部の常程氏が退社したことが明らかになった。同社は1月28日、グループ副総裁(副社長に相当)でスマホ事業のプロダクト部門のトップを務めていた常氏が辞任し、その職務をスマホ事業全体を統括する曽学忠氏が兼務するとの人事を社内向けに通知した。
シャオミは近年、社外から複数の上級幹部を相次いでスカウトしてきた。常氏もその1人で、ちょうど2年前の2020年1月初めにパソコン大手の聯想集団(レノボ)から移籍し、スマホの製品企画の責任者に就任した。
レノボのスマホ事業は長年低迷が続いていたが、常氏はそれを立て直した実績で知られている。2018年にスマホ事業のトップに就くと、「ZUK」や「Z5」などのサブブランドを立ち上げて価格性能比が高いスマホを次々に投入。新たなユーザー層を獲得することに成功した。
だが、シャオミに移籍後のキャリアは順調ではなかった。同社に近い関係者によれば、2020年4月に発売した新型スマホの性能を宣伝するため常氏がSNS(社交サイト)に投稿したキャッチコピーが、ネットユーザーから「低俗だ」と批判を浴びて炎上したダメージが大きかったという。
その後、常氏は表舞台を避けて目立たなくなり、(サブブランドの立ち上げなど)独自のリーダーシップを発揮することなくシャオミを去った。
ライバルのvivoとOPPOの後塵拝す
なお、常氏の辞任に関してシャオミは、「会社として個人の希望を十分に理解・尊重した結果だ。これまでの常氏の(会社に対する)貢献と奮闘に感謝している。今回の人事が日常業務に影響を及ぼすことはない」とコメントした。
しかし現実には、シャオミのスマホ事業は目下大きな重圧にさらされている。同社のスマホ販売はもともとオンラインが中心だったが、中国市場でのシェア拡大を目指して2020年から実店舗網を急速に拡充してきた。にもかかわらず、販売台数は思惑通りに伸びていない。また、同時に進めてきたハイエンド・スマホの拡販戦略もユーザーの支持を得られていない。
調査会社のカナリスが1月28日に発表したデータによれば、出荷台数ベースで見た2021年の中国スマホ市場の規模は約3億3000万台。シャオミの出荷台数は5050万台と前年比27%増加しており、一見悪くない成績だ。
だが市場シェアで比較すると、ライバルのvivo(ビボ)とOPPO(オッポ)がそれぞれ21%を獲得したのに対してシャオミは15%にとどまり、その差は歴然としている。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は1月29日
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