家庭用医療機器などを手がける中国の九安医療電子(アンドン)は1月19日、2021年の純利益が大幅に増加するとの業績予想を発表した。同社が開発した新型コロナウイルスの家庭用抗原検査キットが、アメリカで大量の受注獲得に成功したためだ。
同社の発表によれば、2021年の通期純利益は9億~12億元(約162億~216億円)を見込む。これは前年の純利益2億4200万元(約44億円)の3.71~4.95倍に相当する。
注目すべきなのは、九安医療電子は2021年1~9月の売上高が前年同期比50.82%減の7億9000万元(約142億円)、純損益が2478万元(約4億4629万円)の赤字と、業績不振に陥っていたことである。にもかかわらず、なぜ10~12月の3カ月間だけで通期黒字に転換できたのか。
大量受注が持続するかは流動的
ターニングポイントは2021年11月6日、上述の家庭用抗原検査キットが、アメリカ食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を得たことだった。このキットはアメリカ子会社のアイヘルス・ラボが販売しており、医師の処方箋がなくてもインターネット上の通販サイトやスーパーマーケット、ドラッグストアなどで簡単に入手できる。
緊急使用許可をきっかけに、九安医療電子はアメリカ政府からの大型受注を獲得した。同社の2021年12月29日付の情報開示によれば、アメリカ政府からのオーダーは4743万人分、受注総額は2億3715万ドル(約271億円)に上る。そのおかげで、業績の悪化を一気に挽回できたのだ。
なお、九安医療電子は将来の経営上のリスクについて、投資家に次のように注意を喚起した。
「2021年の業績は新型コロナの検査キットに依存したものであり、受注の急拡大が持続するかどうかは流動的だ。将来の業績はアメリカにおける新型コロナ対策の変化や、アメリカ政府による新型コロナ検査キットの(調達時の)選択、わが社の製品の競争力や販売力などにかかっている」
(財新記者:崔笑天)
※原文の配信は1月20日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら