中国「ディディ」、NY上場廃止後の初決算の中身 2022年の国内ネット配車事業の売上高22%減

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ディディの経営は、中国当局のサイバーセキュリティ審査の影響に翻弄され続けてきた(写真は同社ウェブサイトより)

中国のネット配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)は4月29日、2022年の未監査の通期決算をウェブサイトで発表した。2022年6月にアメリカのニューヨーク証券取引所での上場を廃止して以降、同社が決算を開示したのはこれが始めてだ。

決算報告書によれば、2022年の売上高は1408億元(約2兆7601億円)と、前年比19%減少。純損益は238億8300万元(約4682億円)の赤字だったが、損失額は前年より52%縮小した。

ディディの事業セグメントは、中国国内のネット配車事業(タクシー、運転代行、乗り合いサービスなどを含む)、国際事業(海外でのネット配車サービスやネット出前サービスなど)、その他事業(シェアサイクル、自動車関連サービス、物流、自動運転、金融サービスなど)の3分野で構成されている。

そのうち国内のネット配車事業は、総売上高の9割を稼ぐディディの屋台骨だ。同事業の2022年の売上高は前年比22%減の1259億元(約2兆4680億円)。中国のサイバーセキュリティ当局が科した罰金を算入した同事業の営業損益は、15億元(約294億円)の赤字だった。

新規ユーザー登録再開後に急回復

ディディがニューヨーク証券取引所に上場したのは2021年6月末のことだった。ところがその直後、中国政府の国家インターネット情報弁公室が同社に対するサイバーセキュリティ審査の着手を発表。ディディは、ネット配車アプリの新規ユーザー登録を(審査が完了するまで)停止しなければならなくなった。

(訳注:サイバーセキュリティ審査の期間中も、ディディの既存ユーザーがネット配車アプリを利用することは認められていた)

1年後の2022年6月、同社はニューヨーク証券取引所での上場を廃止。「業務の正常な運営を再開した後、別の証券取引所への再上場を検討する」と表明した。その翌月、国家インターネット情報弁公室は(サイバーセキュリティ法などの規定に基づき)ディディに対して80億2600万元(約1573億円)の罰金を科す処分を下した。

本記事は「財新」の提供記事です

そして2023年1月16日、ディディのネット配車アプリで1年半ぶりに新規ユーザー登録が再開された。中国国内の新型コロナウイルスの流行が鎮まったことも追い風になり、国内ネット配車事業の受注件数はここにきて急回復している。

決算報告書によれば、2023年3月の1日当たり平均受注件数は2820万件に上り、前年同月比42%増加した。

(財新記者:銭童)
※原文の配信は4月29日

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