中国発の越境EC(電子商取引)アプリとして急成長している「Temu(ティームー)」。その開発・運営元である中国のEC大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)が、Temuの「切り離し」を進めている。
拼多多の持ち株会社でアメリカのナスダックに上場する「PDDホールディングス」が、アメリカ証券取引委員会(SEC)に最近提出した資料から、Temuの運営会社がアイルランドのダブリンに法人登記されたことが明らかになった。
その理由について拼多多は、「Temuのヨーロッパにおける事業展開とコンプライアンス対応上の必要から、海外事業の(運営会社の)法律上の登記地としてダブリンを選んだ」と説明する。なお、アイルランドは法人税率が12.5%と低く、欧米のIT大手など数多くの多国籍企業が拠点を置くことで知られている。
Temuは2022年9月、まずアメリカ向けにサービスを開始し、続いてカナダ、オーストラリア、ニュージーランドに進出。2023年4月にはイギリス、ドイツ、オランダ、イタリア、フランス、スペインの欧州6カ国に進出するなど、急速な事業拡大に邁進している。
本社移転の噂を全面否定
拼多多とTemuの切り離しは、両者のウェブサイトからも見て取れる。Temuのウェブサイトの会社概要ページからは、(実質的な親会社である)拼多多に関する情報が削除された。さらに、拼多多のウェブサイトの会社概要ページからも、3月まで存在したTemuを紹介する記述がいつの間にか消えた。
それだけではない。SECに提出した資料からは、PDDホールディングスの本社登記地も(中国の上海から)ダブリンに変更されたことがわかった。そのため「拼多多が本社を海外に移した」という噂が、中国のネット上を駆け巡った。
この変更について拼多多は、アメリカでの上場関連事務や国際業務に関わる(外国の)監督官庁とのやりとりが増え続けていることへの「純粋に利便性を考慮した対応」であると釈明。さらに次のように強調して、噂を全面否定した。
「拼多多は上海で生まれ、中国で育った。われわれの本社はずっと上海にあり、今後も変わることはない」
(財新記者: 包雲紅)
※原文の配信は5月5日
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