中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の経営が難局に直面している。
同社が5月11日に発表した2023年1~3月期の決算によれば、同四半期の売上高は14億6200万ドル(約1975億円)と前年同期比20.6%減少。純利益は2億6700万ドル(約361億円)と同53.1%減少し、大幅な減収減益となった。
SMICの1~3月期の設備稼働率は68.1%にとどまり、2022年10~12月期の79.5%からさらに低下した。ファウンドリーは典型的な設備集約型のビジネスであり、稼働率の低下は利幅縮小に直結する。SMICの1~3月期の粗利率は20.8%と、10~12月期の32.0%から11.2ポイントも落ち込んだ。
「わが社では、受注量を確保するために(受託製造料を)値下げする戦略をとっていない。設備稼働率が下がったのはそのためだ」。SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、決算説明会でそう述べた。
2023年後半も回復見通せず
1~3月期の売上高に占める分野別の比率を見ると、スマートフォン向けが23.5%と前年同期より5.2ポイント低下した。また、コンシューマー用電子機器向けが26.7%と、同1.1ポイント下がった。
「産業用やEV(電気自動車)向けの半導体は、現在も供給が需要に追いついていない状況だ。しかし、これらの分野の半導体は種類が多く、1製品当たりの生産量は多くない」「今のところスマホ向けやコンシューマー用電子機器向けの受注に回復の兆しはない。一方、(あらゆるモノをネットにつなぐ)IoT向けはすでに受注が戻り始めた」。直近の受注動向について、趙氏はそう解説した。
今後の業績についてSMICは、2023年4~6月期は設備稼働率と製品出荷量が上昇に転じ、売上高が1~3月期より5~7%増えると予想する。だが同時に、仮に業績が1~3月期で底打ちしたとしても、2023年後半の回復の度合いは見通せないと判断している。
そのため同社は、2023年の通期売上高が前年比10%台前半の減少になるという(2022年10~12月期の決算発表時に示した)予想を据え置いた。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は5月13日
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