中国では子どもの人口が減少する一方で、(地域をまたいだ)人口流動化の影響を受ける子どもたちの数が増えている。都市部で暮らす子どもの3人に1人が「流動児童」(両親の出稼ぎに伴って出生地を離れた子ども)に、農村部で暮らす子どもの10人に4人が「留守児童」(出稼ぎに行った両親と離れて出生地で暮らす子ども)になっているのだ。
この実態は、中国国家統計局が国連児童基金(UNICEF)、国連人口基金(UNFPA)と共同で発表した最新レポートのなかで明らかにされた。
このレポートは2020年までの国勢調査のデータと人口サンプル調査を基に、中国の子どもの人口を取り巻く状況を詳しく分析している。それによれば、2020年時点の0歳から17歳までの人口は2億9800万人と、20年前(の2000年時点)に比べて4700万人減少した。
成長の過程で困難に直面
ところが、同じく2020年時点の流動児童は7109万人、留守児童は6693万人に上り、両者の合計(約1億3800万人)は20年前より8800万人増加。子どもの総数に占める流動児童と留守児童の比率は46.4%に達した。
注目すべきなのは、流動児童と留守児童の割合に明らかな構造変化が見られることだ。10年前の2010年時点では留守児童の数が流動児童を大きく上回っていたが、2020年にはそれが逆転し、流動児童のほうが多くなった。このことは、両親と一緒に都市部に移り住む子どもや、出稼ぎや進学のために1人で都市部に出る子どもが増えていることを示唆する。
「人口流動化の影響を受ける子どもたちは、成長の過程で多くの困難に直面する。家族や地域社会とのつながりが薄まり、生活や学習面でのサポートも不足しがちで、心身の健全な成長が妨げられかねない。こうした子どもたちへの社会的・政策的な関心を高め、困難の克服を支援すべきだ」。上述のレポートはそう呼びかけている。
(財新記者:黄蕙昭)
※原文の配信は5月5日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら