ショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の利用を全面禁止する法律が、アメリカで初めて成立した。モンタナ州のグレッグ・ジアンフォルテ知事は5月17日、州内でのTikTokの利用を禁止し、アプリストアがTikTokのダウンロードを提供するのを認めないとする法案に署名した。
この法案は2024年1月から施行され、違反者には1日当たり1万ドル(約137万円)の罰金が科される。ただし、処罰の対象はダウンロード手段の提供者に絞られ、TikTokのユーザーは対象外だ。
TikTokは中国のアプリ開発大手、字節跳動科技(バイトダンス)の子会社が運営している。その全面禁止の理由について、法案は「中国はアメリカおよびモンタナ州の敵対者であり、モンタナ州民、モンタナ企業、アプリユーザーの知的財産に関する情報収集を行い、企業に対するスパイ活動や国際的なスパイ活動を試みている」と主張している。
法案はさらに、TikTokが未成年者を危険な行動に誘導するコンテンツを削除せず、むしろ助長する可能性さえあり、「モンタナ州民の健康と安全を脅かしている」と糾弾した。
「州民の権利を侵害」とTikTok反論
これに対して、TikTokの運営会社は直ちに声明を発表。「ジアンフォルテ知事はTikTokの利用を違法に禁止する法案に署名し、アメリカ合衆国憲法修正第1条が保証するモンタナ州民の権利を侵害している」と反論した。
(訳注:合衆国憲法修正第1条は、宗教活動、言論、出版などの自由を制限する法律の制定を禁じている)
そのうえで同社は、「モンタナ州の人々がTikTokを自己表現や生計、コミュニティー探しの手段として使い続けられるようにしたい。われわれは、モンタナ州内外のユーザーの権利を守るための努力を続ける」と述べた。
なお、モンタナ州政府に対して訴訟を起こすかどうかについて、TikTokの声明は言及していない。
アメリカのメディアの報道によれば、全米50州のうちすでに34州の政府が、政府の管理下にあるデバイスやネットワーク上でのTikTokの利用を禁止している。しかし、民間を含めた全面禁止はモンタナ州が初めてだ。
連邦政府のレベルでは、議会の要請を受けたホワイトハウスが2月27日、TikTokのアンインストールを連邦政府に指示した。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は5月18日
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