ベトナム「不動産危機」、終わりが見えぬ背景事情 ハノイで400件、ホーチミンで300件の工事中断

✎ 1〜 ✎ 1259 ✎ 1260 ✎ 1261 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ベトナムでは多数の不動産開発プロジェクトが中断している。写真は首都ハノイの高層マンション群

ベトナムの「不動産危機」が深刻さを増している。不動産デベロッパーの資金繰り悪化により、これまでに1200件を超えるプロジェクトが中断に追い込まれた。業界団体のベトナム不動産協会によれば、危機の収束はまだまったく見通せない状況だという。

現地紙の報道によれば、工事がストップしたプロジェクトは首都ハノイで約400件に上り、最大都市のホーチミンでも300件を超える。ベトナム建設省が公表した最新データによれば、2023年1月から5月までの間に、ベトナム全土で8万8000社以上の企業が業務停止に追い込まれた。その大部分が不動産の開発や販売を手がけていた。

危機が拡大したきっかけは、2022年4月に摘発された金融不正事件だった。ベトナムの「不動産王」と呼ばれていた大手デベロッパーの「タンホアンミン・グループ」が社債を違法に発行し、投資家から多額の資金を集めていたのだ。

違法な社債発行が業界に蔓延

ベトナム公安省の捜査によれば、タンホアンミンは2021年7月から2022年3月にかけて、傘下企業3社の名義で9回にわたって私募債を発行。総額10兆ドン(約593億円)余りを調達した。しかし、この資金は債券の発行書類に記された用途に使われていなかった。

事件が明るみに出ると、タンホアンミン以外にも多数の不動産デベロッパーが類似の違法社債を発行していたことが露呈した。その影響により、ベトナムの社債市場は取引規模が大きく縮小。さらに、不動産デベロッパーの社債発行に対する当局の監督も強化された。

本記事は「財新」の提供記事です

社債市場からの資金調達が途絶えると、不動産デベロッパーの多くが資金ショートに直面した。ハノイ証券取引所の公表情報によれば、2023年1月末の時点で、社債を約定通りに償還できない企業が54社に上っている。

(財新 香港駐在記者:文思敏)
※原文の配信は6月2日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事