中国の不動産大手、万達集団(ワンダ・グループ)の資金繰り悪化が明らかになり、市場関係者の懸念を呼んでいる。
同社の事業は(マンションやオフィスビルなどの)不動産開発と、複合商業施設の運営が2本柱だ。それらの事業統括会社が過去に発行した社債の償還ラッシュが近づき、資産売却を通じたデフォルト(債務不履行)の回避が間に合うのかが危惧されているのだ。
商業施設事業を統括する万達商業管理集団(万達商業)は5月29日、同社が2020年6月に発行した社債「20大連万達MTN002」に関して、約定通り2023年6月3日に元本と利息を償還すると発表した。
MTN002は元本20億元(約393億円)、期間3年、表面利率4.7%の中期社債で、満期時の元利償還額は20億9400万元(約411億円)となっている。その支払いにより、万達商業はひとまずデフォルトを回避した格好だ。
7月末までに社債3本が満期
万達集団の資金繰り悪化が明るみに出たのは、4月中旬のこと。同社の不動産開発部門がノンバンクからの融資の返済繰り延べを要請するという噂が、資本市場に広がったのがきっかけだった。それから1週間も経たずに、商業施設部門でも資金繰り悪化が顕在化した。MTN002は、その後に初めて満期を迎えた公募社債だった。
だが、MTN002の償還だけでは安心できない。これから7月末までの間に、万達商業が国内市場で発行した中期社債2本の満期が来る。それらの元利償還額は合計21億3300万元(約419億円)。加えて、海外市場で発行した元本4億ドル(約559億円)のドル建て社債も期限を迎える。
債務返済のプレッシャーが高まるなか、万達集団はあらゆるルートを通じて資産を売却し、危機を乗り切る構えだ。
財新記者が複数の関係者から得た情報によれば、売却候補の資産リストには大型ショッピングモールの「万達広場」も含まれており、いずれも業績好調な「金のなる木」だという。
財新記者は万達集団に対し、資産売却の進捗状況についてコメントを求めた。しかし本稿の締切時点までに回答は得られなかった。
(財新記者:陳博、王娟娟)
※原文の配信は6月1日
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