中国のサービス業の景況感がさらなる高まりを見せている。6月5日に発表された2023年5月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は57.1と、前月(56.4)より0.7ポイント上昇。3月につけた57.8に次いで、2020年12月以降で2番目に高い水準を記録した。
また、4日前の6月1日に発表された5月の財新中国製造業PMIは50.9と、前月(49.5)より1.4ポイント上昇。好不況の判断の目安である50を2カ月ぶりに上回った。製造業とサービス業のPMIがそろって上昇したことは、中国経済全体にとって明るい材料だ。
ただし、このトレンドは中国国家統計局の調査に基づくPMIとは一致しない。国家統計局が5月31日に発表した5月の指数は製造業PMIが48.8、サービス業PMIが53.8であり、前者は4月より0.4ポイント、後者は同1.3ポイントそれぞれ低下した。
サービス業の5月の事業活動は、供給側と需要側の双方で引き続き活況だった。生産指数と新規受注指数はいずれも前月より上昇し、2020年12月以降で2番目の高水準となった。調査対象企業からは「ゼロコロナ政策の緩和以降、それまで抑制されていた需要が解き放たれたことが、事業の拡大を支えている」との声が多く寄せられた。
楽観度の指数が4カ月連続低下
雇用も好調が続いている。サービス業の5月の雇用指数は、前月比ではわずかに低下したものの、4カ月連続で拡大基調を維持した。調査対象企業の多くが、景況感の高まりとともにサービスの提供能力を引き上げる必要に迫られ、新規採用を増やしている。
そんななか、サービス業の経営者の向こう12カ月間の楽観度を示す指数は4カ月連続で低下し、5月は2023年の最低値を記録した。絶対値としては2022年の平均を上回っており、依然として高い水準だ。とはいえ、今後を見通すうえで気がかりな動きと言える。
「目下の中国経済の特徴は、サービス業と製造業の景況感に大きな落差があることだ。総合的な雇用状況は良好とは言えず、先行きへの期待値が(サービス業でも)弱まる兆しが現れている。このことは、中国経済の内生的な回復力が不足しており、経営者が十分な自信を持てない実態を暗示している」
財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は6月5日
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