中国「恒大集団」のEV子会社が操業停止の危機 初の市販モデルの納車台数わずか900台余り

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初の市販モデル「恒馳5」の売れ行きは目標をはるかに下回っている。写真中央の人物は恒大集団の創業トップの許家印氏(恒大汽車のウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの恒大汽車(正式社名は恒大新能源汽車集団)は3月23日、新たな資金調達ができなかった場合、工場の操業停止に追い込まれるリスクがあると発表した。

同社は深刻な経営危機に陥っている不動産大手、恒大集団(エバーグランデ)の子会社だ。恒大汽車によれば、2022年7月に予約販売を開始した初の市販モデル「恒馳(ヘンチー)5」は、これまでの納車台数が900台余りにとどまっているという。

恒大汽車は香港証券取引所に上場しているが、2021年の決算報告書を期限までに提出できず、2022年4月から株式の取引が停止されている。同社が2023年3月23日に公表した未監査の財務データによれば、2021年末時点の現金および現金同等物の残高は12億8700万元(約247億円)、総資産は595億2000万元(約1兆1404億円)、総負債は588億3000万元(約1兆1272億円)だった。

スウェーデン子会社では大量解雇

親会社の恒大集団は、異業種からEV製造への参入をもくろみ、2019年にスウェーデンの自動車メーカー「NEVS」を買収した。その前身は、2011年末に経営破綻した老舗メーカーの「サーブ」である。

恒大集団は不動産事業が生み出す潤沢な資金をテコに、NEVSに続いてEV製造に不可欠な技術やライセンスを持つ企業を次々に買収。2020年9月に既存の上場子会社を社名変更して恒大汽車を発足させた際には、2025年に100万台、2035年に500万台の生産・販売を目指すという野心的目標を掲げた。

ところが、2021年に入ると(中国政府による不動産価格の抑制政策などの影響で)恒大集団の資金繰りが急速に悪化し、恒大汽車はEVの開発・量産を実現するための資金確保が困難になった。恒馳5の発売には何とかこぎ着けたものの、売れ行きは目標をはるかに下回っている。

本記事は「財新」の提供記事です

恒大汽車はスウェーデンのNEVSの売却を試みたが、買い手は見つからなかった。そんななか、NEVSは2月23日に会社の休眠計画を実行に移すと発表。全社員の9割以上にあたる320人を6カ月以内に解雇する予定だ。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月24日

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