中国のEV(電気自動車)最大手の比亜迪(BYD)は3月28日、2022年の通期決算を発表した。同年の売上高は前年の2倍弱の4240億6000万元(約8兆704億円)、純利益は同約5.5倍の166億2000万元(約3163億円)を計上し、目を見張る増収増益を達成した。
躍進の原動力は「新エネルギー車」に特化した事業戦略だ。BYDはもともとエンジン車も生産・販売していたが、2022年4月にその打ち切りを宣言。中国市場で急拡大した新エネルギー車の需要取り込みに全力を挙げた。その結果、2022年の新エネルギー車の販売台数は前年の約2.5倍の179万6600台に達した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
BYDの創業トップで董事長(会長に相当)を務める王伝福氏は、3月29日に開催された業績説明会で、(中国の)新エネルギー車の市場規模が2023年は850万~900万台に拡大するとの見通しを示した。そのうえで、BYDの2023年の販売目標を300万~360万台としたことを明かした。
規模のメリットで粗利率が向上
強気の目標の背景には、「DM-i」と呼ぶBYD独自のプラグインハイブリッド技術への自信がある。主力車種の「秦Plus」、「漢」、「唐」などにDM-iバージョンを続々と投入し、PHVの価格をエンジン車に近い水準にまで引き下げた。
それが消費者の評判を呼び、BYDの2022年のPHV販売台数は94万6000台と前年の約3.5倍に急拡大。伸び率はEVの約2.8倍を上回った。また、同年の中国市場全体のPHV販売台数は141万9800台であり、BYDのシェアは67%に達した。
新エネルギー車の生産・販売規模の拡大は、BYDの利益率向上にも寄与している。決算報告書によれば、2022年の自動車および関連製品セグメントの粗利率は20.4%と、前年比3ポイント上昇した。
中国の新興EVメーカーを代表する理想汽車、小鵬汽車、蔚来汽車の3社のなかでは、2022年の粗利率は理想汽車が最も高かったが、その数値は19.4%とBYDを下回る。なお、小鵬汽車と蔚来汽車の粗利率はいずれも10%前後だった。
(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は3月29日
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