「テスラの大型EV(電気自動車)トラックは、(当初計画より)5年遅れたものの現実になった。中国のトラックドライバーにとってテスラが最良の選択になるまで、われわれは黙って見ているのか」
中国の大型トラックメーカー、三一重卡の董事長(会長に相当)を務める梁林河氏は、4月2日に開催された業界向けのフォーラムでそう述べ、長距離走行が可能な大型EVトラックの重要性を訴えた。
三一重卡は、建設機械大手の三一重工を核とする三一集団のグループ企業だ。梁氏の言うテスラの大型EVトラックとは、同社が2017年11月に発表したセミトレーラー型の「Semi(セミ)」のことである。
Semiは数度にわたる計画延期を経て、2022年12月1日にアメリカのネバダ州の工場で第1号車がラインオフした。その設計積載能力は約36トン。貨物を満載した状態での公道走行試験で、航続距離500マイル(約800キロメートル)を達成している。
ゼロ・エミッション化に2つの誤解
「大型EVトラックが長距離の都市間物流を担えることを、Semiは証明した」。そう話す梁氏は、中国の業界が目指すゼロエミッション化の取り組みに2つの誤解があると指摘する。
梁氏の主張によれば、第1の誤解は大型トラックのゼロエミッション化の重点が短距離輸送にあり、長距離輸送には不向きと考えていること。第2の誤解は、技術的な優位性が電池交換式のEVトラックや燃料電池トラックにあると見ていることだ。
「電池交換式のEVトラックを普及させるためには、電池交換ステーションを大量に建設する必要がある。さらに、頻繁な電池交換(のためのステーション立ち寄り)は輸送効率を低下させる。燃料電池トラックは(燃料である)水素の供給網が未整備であり、目の前の需要に応えることができない」(梁氏)
そんななか、三一重卡は航続距離が800キロメートルを超える大型EVトラックを5月にも発表する計画だ。このモデルは総容量1165kWh(キロワット時)の大型電池を搭載。4台の急速充電器を同時使用する「4ポート急速充電」方式を採用し、充電時間の短縮を実現したという。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月4日
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