テスラが上海に「大型蓄電装置」の工場を建設 米国外での生産は初、世界各国への輸出拠点に

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テスラのメガパックは、風力発電や太陽光発電から得られる電力の一時貯蔵などに使われる(写真は同社ウェブサイトより)

アメリカのEV(電気自動車)大手、テスラの中国法人は4月9日、中国の上海市に大型蓄電装置「メガパック」の工場を建設すると発表した。新工場の生産能力は年間1万ユニット、容量ベースで同約40GWh(ギガワット時)に上り、中国国内だけでなく世界各国に輸出する計画だ。

テスラは上海市南東部の臨港新区にEV工場の「ギガファクトリー」を構える。メガパックの工場も同じく臨港新区に建設され、2023年7〜9期に着工、2024年4〜6月期の生産開始を予定している。なお、テスラは工場建設の総投資額や電池セルの調達計画について明らかにしていない。

地元政府はテスラの投資を歓迎している。「このプロジェクトは上海市が外資企業の積極誘致だけでなく、市場メカニズムの導入や法治の推進、国際化されたビジネス環境整備などに注力してきた成果だ。対中投資に対する外資企業の信頼を高める効果がある」。臨港新区の政府は、SNSの公式アカウントを通じてそう高く評価した。

中国CATL製の電池セル採用か

現時点では、メガパックはアメリカのカリフォルニア州の工場だけで製造されている。その生産能力は(上海の新工場と同等の)年間40GWh。上海のメガパック工場が完成すれば、テスラにとってアメリカ国外で初の大型蓄電装置の生産拠点となる。

テスラは電池セルの一部を自社生産するとともに、外部からも電池セルを調達し、車載電池パックや蓄電装置に組み込んでいる。同社の電池セルのサプライヤーは日本のパナソニック、韓国のLGエナジーソリューション、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)と比亜迪(BYD)の4社だ。

メガパックにはもともと(主にパナソニックとLGが供給する)三元系のリチウムイオン電池が使われていた。しかし2021年と2022年に起きた発火事故の後、テスラはCATLから(エネルギー密度が相対的に低い)リン酸鉄系のリチウムイオン電池の調達を開始した。

本記事は「財新」の提供記事です

テスラの蓄電装置の電池セルに占めるCATL製の比率については、今のところ明らかにされていない。財新記者はCATLに対し、上海のメガパック工場に電池セルを供給するかどうかを問い合わせたが、回答は得られなかった。

(財新記者:安利敏)
※原文の配信は4月9日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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