中国の太陽光パネル大手の隆基緑能科技(ロンジ)は6月20日、スイス証券取引所に重複上場する計画を発表した。同社が上海証券取引所に上場している人民元建てのA株を裏付けに、グローバル預託証券(GDR)を発行する。
開示資料によれば、ロンジはスイス上場を通じて199億9600万元(約3945億円)を調達し、中国内外での生産能力増強に投じる計画だ。
具体的には、中国の内モンゴル自治区の工場でシリコンウエハの生産能力を年間46GW(ギガワット)に、太陽電池セルを同30GWに引き上げる。さらに、マレーシア工場のシリコンインゴットの生産能力を年間6.6GWに、太陽電池モジュールを同2.8GWに、ベトナム工場の太陽電池セルを同3.35GWにそれぞれ拡大する。
なお、ロンジのスイス上場はまず上海証券取引所の審査を通過したうえで、中国証券監督管理委員会の認可を取り、さらにスイス証券取引所の承認を得る必要がある。
保護貿易の高まりに対応
ロンジは太陽光パネルの世界的大手であり、2022年末時点の中国国内の生産能力はシリコンウエハが年間150GW、太陽電池セルが同50GW、太陽電池モジュールが同85GWに上る。
また、海外では東南アジアのマレーシアとベトナムに工場を持ち、シリコンウエハ、太陽電池セル、太陽電池モジュールの合計生産能力は年間10GWを超える。
近年、世界各国が再生可能エネルギーの導入を拡大する一方、太陽光パネルの自国生産や調達元の分散化を図る動きが強まっている。なかには(中国製太陽光パネルに対する)あからさまな輸入規制や、自国メーカーへの補助金支給などに踏み切る国もある。
そんななかロンジは、スイスでの上場が事業のグローバル化と保護貿易への対応に役立つと説明する。GDR発行で調達した資金をマレーシアとベトナムに投じることで、シリコンインゴットからシリコンウエハ、太陽電池セル、太陽電池モジュールに至るまで、中国国外で一貫生産できる体制を構築。海外市場のさらなる開拓を目指している。
(財新記者:趙煊、蘆羽桐)
※原文の配信は6月21日
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