中国「ガリウムとゲルマニウム」輸出規制の衝撃 半導体として優れた特性、外資に広がる懸念

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中国政府の輸出管理強化により、半導体産業は原材料の調達戦略の見直しを迫られる(写真は中国商務省のウェブサイトより)

中国商務省と海関総署(税関)は7月3日、国家安全保障と国益の保護を目的に、希少金属のガリウムおよびゲルマニウムの関連製品を輸出管理の対象に加えると発表した。

具体的には金属ガリウム、酸化ガリウム、窒化ガリウムなどを含むガリウム関連8品目と、金属ゲルマニウム、リン化ゲルマニウム亜鉛などを含むゲルマニウム関連6品目について、関連当局の許可を得なければ中国から輸出できなくなる。

輸出規制の施行は8月1日から

ガリウムは主にアルミニウム精錬の副産物、ゲルマニウムは褐炭や亜鉛精錬の副産物として抽出され、中国の生産量は前者が世界の約9割、後者が約7割を占めている。現時点の需要量は大きくないが、半導体として優れた特性を持つことから、将来は(電気自動車用パワー半導体など)高性能半導体向けの用途拡大が期待されている。

中国商務省と海関総署(税関)は7月3日、希少金属のガリウムおよびゲルマニウムの関連製品を輸出管理の対象に加えると発表した(写真:編集部撮影)

今回の輸出規制は8月1日から施行される。これに対して、アメリカの半導体材料メーカーのAXTは即座に声明を発表。同社の中国子会社がガリウムおよびゲルマニウム関連製品の輸出許可の申請手続きを直ちに開始し、「顧客に及ぼす潜在的な混乱を最小限に抑えられるよう努める」と述べた。

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