そんな状況だったので、ジミーさんは高校1年生の2学期から、勉強をしたいと強く思うようになります。
「友達のお姉さんが豊島岡女子学園という進学校に行っていて、現役の東大の学生とつながりがあったんです。私の好きな作家が「太宰、芥川、川端、夏目、三島」とみんな東大出身だったので、自分も行きたいと強く思い、そこでつないでいただいた現役の東大法学部の学生に家庭教師をしてもらうようになりました。その学生には、週に3回数学を教えてもらいました」
「1年くらいしたら中学レベルがわかるようになり、勉強が面白くなった」と語るジミーさんは、2年生が終わるころには高校でいちばん上のクラスに入ることができました。旺文社の模擬試験でも席次で4番まで行ったジミーさんは、受験までがむしゃらに勉強し続けました。
しかし、成績が伸びたといえども東大は遠く、導入初年度の共通一次試験で550/1000点と東大の足切りラインに150点以上及ばずに、現役時の受験が終わりました。
「数学は満点でしたし、英語も9割取れました。でも、ほかの科目(日本史、世界史)が全然追いついていませんでした」
「やり残したという思いが強かった」ジミーさんは、浪人を決断します。
浪人を決意するも、自衛隊に志願
「自分も憧れた作家のように東大に行って、物書きになりたかったんです。あの頃は合格して東大本郷キャンパスの三四郎池を散歩する自分の姿をひたすらイメージしていました。家庭教師には早稲田の受験も勧められたんですが、興味がありませんでした。東大にしか行きたくなかったんです」
こうして埼玉から池袋に引っ越したジミーさんは、朝日新聞の販売所に住み込んで新聞配達の仕事をしながら独学で勉強を続けます。しかし、9月に息抜きに観に行った映画『野性の証明』が、ジミーさんの受験人生を大きく変えました。
「自衛隊特殊部隊の世界を舞台にした映画でした。高倉健さん演じる自衛隊レンジャーが正義を貫くために、ひたすらストイックに突き進む姿がかっこよくて、すぐに市ヶ谷駐屯地に行って陸上自衛隊に志願したんです。この時点で私は、いったん大学受験を放棄してしまいました」
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