絶滅寸前「ドムドム」救った元専業主婦社長の半生 39歳初の職場は「SHIBUYA109」同僚は20代のギャル
もう1つ、当時の私の状況もプラスに影響したと思います。起業したときと大きく違うのは、責任の範囲。
前年に夫を亡くし、息子は社会人になっていたから、私自身はフリー。
たとえうまくいかなかったとしても、自分自身がひどい目に遭うだけでしたから、思い切ったことが言いやすい状況ではありましたね。
まさかの社長就任。「ドムドムとは」に向き合い続けた
ただ、直談判の結果は予想外でした。
2カ月後に告げられたのは「あなたを社長にします」というまさかの言葉。それはもう、本当に驚きましたよ。
ドムドムバーガーは決して大きな会社ではありませんが、それでも当時の従業員数は約300人、36の店舗がありました。
赤字幅が大きいぶん、人事を含めさまざまなものを縮小していましたから、私が社長になったタイミングで6人いたSV(店舗等の管理者)は2人に減り、そのうちの1人が私という状況です。
仕事の幅は多岐にわたり、週4〜5日は店舗を回る日々でしたから、ほとんど会社にはいなかったですね。
会社の将来に不安を感じているスタッフのみんなに直接会って話して信頼関係を構築しながら、「ドムドムハンバーガーとは」という問いを私なりに考え続けました。
ハンバーガーチェーンは国内にもいっぱいあります。その中で、ドムドムの独自性とは何なのか──。
模索してわかったのは、「愛されているブランド」だということです。
ドムドムバーガーは現在創業53年目。最大約400店舗あったお店が約30店舗になってもなお生き長らえているのは、ある意味すごいことです。
それだけお客さまからも、スタッフからも、愛されているのだなと思ったんですね。
そこで決めたのが、「ドムドムはこういうブランドです」とわれわれが決めるのではなく、「お客さまとスタッフの人生に寄り添って、一緒にブランドを育んでいく」という指針。
それが根っこにあるので、「ドムドムはこうあるべき」といった画一的なこだわりはまったく必要なくなりました。
ドムドムハンバーガーを愛してくださっている方の声に耳を傾け、お返しすべきことを追求する。それが結果的に独自性にもつながっていきます。
その一例が、コロナ禍で販売したマスクです。店舗で少量販売したマスクがTwitterに投稿されてバズり、全国のお客さまから「欲しい」という声をたくさんいただいて。
そこから、オンラインショップでのグッズ販売につながっていきました。