東京駅で爆売れ「お土産菓子」作る鳥取企業の正体 あの北海道「ルタオ」生み出したヒットメーカー

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「ザ・メープルマニア」「東京ミルクチーズ工場」「バターバトラー」など東京駅だけで12店の土産店を出店している(撮影:尾形文繁)

観光客や訪日外国人客であふれかえり、賑わいを取り戻した東京駅。駅の構内や改札外にずらりと並ぶ土産物屋の中で、とりわけ混雑する店がある。

ザ・メープルマニア、東京ミルクチーズ工場、COCORIS、岡田謹製あんバタ屋、PISTA & TOKYO、バターバトラー。東京駅で人気のお土産ランキングで常連のこれらのブランドは、実は鳥取県米子市に本社を置く寿スピリッツが手がけている。

寿スピリッツは東証プライム市場に上場する持ち株会社で、地域限定の観光土産菓子で最大手。傘下には「ザ・メープルマニア」などを手がける中核企業シュクレイ、北海道の「ルタオ」などのケイシイシイ、長崎の「九十九島せんぺい」などの九十九島グループを含め17の子会社がある。

2021年3月期にはコロナ禍で29億円の営業赤字に陥ったものの、2023年3月期の業績は売上高501億5500万円(前期比約1.5倍)、営業利益99億5100万円(同約7倍)と急回復。インバウンド需要がコロナ前水準まで戻らない中でも、売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。営業利益率は19.8%と大手菓子メーカーでは類をみない高収益体質となっている。

経営不振の菓子会社を再建

前身は1952年に河越誠剛社長の父が米子市で設立した、山陰の銘菓「因幡の白うさぎ」が有名な寿製菓。製造工程を見学できる大型直販施設「お菓子の壽城」も運営する。全国にまたがる多彩なブランド展開の背景には、経営不振の菓子会社を傘下に収めて再建してきた買収戦略がある。

1996年に北海道で廃業寸前だったチョコレート工場(現ケイシイシイ)を買収し、その後「ルタオ」を立ち上げた。東京では1998年に宮内庁御用達の老舗和菓子「ちとせ」の商標を譲受し、和菓子ブランドを展開。ほかにも2005年に九州拠点の九十九島グループの菓子事業を継承し、2016年には明治ホールディングスから赤字だった洋菓子のフランセを取得した。

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