「白い恋人」石屋製菓のパンケーキが行列のワケ 創業70周年を迎え「東京」で勝負に打って出た

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11時の開店前には行列ができるイシヤ日本橋。午後早くに売り切れてしまうパンケーキを目当ての客が多い(筆者撮影)

数十年続く老舗や、国民的なロングセラー商品を抱えている企業はブランド力という強い武器を手にしている。黙っていても消費者は商品を買ってくれるからだ。しかし一方で、現状にとどまり続けると、やがて推進力を失ってしまうだろう。そのため、未来を見据えてどう守り、どう変化していくのか、ということが老舗にとっての最重要課題となる。

そして、国内でも指折りの土産菓子ブランド、「白い恋人」が、創業70周年を迎え勝負に打って出た。

「白い恋人」の石屋製菓が新たな境地を開いた。写真はイシヤ日本橋の目玉商品、イシヤパンケーキ ストロベリー1500円(筆者撮影)

カフェや北海道外ブランドという新事業をもう1つの柱とし、同時に社名である「ISHIYA(イシヤ)」を前面に出したプロモーション戦略を開始したのだ。

これは、長年培ってきたブランド力と品質を改めて企業の力として捉え直し、社内外にアピールしていく取り組みである。

70周年を機に行った新ブランドの立ち上げ

同社の歴史をひもとくと、1947年小さな駄菓子屋として創業した石屋製菓は1960年代後半、大手菓子メーカーの北海道進出という倒産の危機にあたり、高級洋菓子へと大きく路線を転換。1976年に、北海道の上質な素材を用いた「白い恋人」を生み出した。

ラング・ド・シャ(薄いクッキー生地)にチョコレートを挟んだこのスイーツは、「北海道でしか手に入らない」という希少性もあいまって、国民的なヒット商品に成長した。

商品名があまりにも有名で、「石屋製菓」という社名を知らない人も多い。そこで新たな価値付けを行うために、70周年を機に行ったのが新ブランドの立ち上げだったというわけだ。

その新たなISHIYAについて、北海道外ブランドの担当者は次のように説明する。

石屋商事広域営業部販売課事務課課長の米山優一氏。イシヤ日本橋立ち上げにあたり、2020年から北海道より転勤したそうだ。なお、石屋「製菓」と石屋「商事」の違いについては、 製造、事業部門はおむね「製菓」、営業、販売部門はおおむね「商事」という役割分けだという(筆者撮影)

「当社は1995年に今の白い恋人パーク(オープン時の名称はイシヤチョコレートファクトリー)をオープンするなど、過去にも挑戦をしてきています。70周年を機に今度は北海道の外にチャレンジをしていくという新しい方針を固めました。どんな商品を軸にしていくかというところで、やはり白い恋人のように北海道を連想させるものだろうと。ただし、『白い恋人は北海道に行かなければ買えない』というところは守らなければなりません。そこで、そのDNAを受け継いだSaqu(サク)が生まれました」(石屋商事広域営業部販売課事務課課長の米山優一氏)

その「Saqu」は「白い恋人」と同様に、ラング・ド・シャにチョコレートを挟んだスイーツ。北海道の素材を練り込んだ生地とチョコレートで、6種類のフレーバーをラインナップした。

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