吉野家玉ねぎ4倍「ねぎだく」人気の深いワケ 新スタイルの店舗「黒吉野家」で女性客を狙う
江戸時代からあるファストフードと言えばそばや寿司だが、牛丼も気軽に素早く食べられる点で、伝統的なファストフードと呼べるかもしれない。
2019年に創業120年を迎えた牛丼チェーンの吉野家もれっきとした老舗と言える。1月8日、その伝統を誇るかのようなメニューが登場した。「ねぎだく牛丼」(並盛税抜き454円)である。
ねぎだく牛丼は、牛丼の並盛に通常の4倍の玉ねぎを加えたもの。牛肉と玉ねぎの割合が1:2となる。
裏メニューの伝統、発祥は築地店
発祥は築地市場の移転に伴い、営業を終了した吉野家築地店の裏メニューだ。
吉野家には有名な「つゆだく」や「アタマの大盛」(大盛のご飯少なめ。現在はメニューに加わっている)など、さまざまな裏メニューが存在するが、これらも実は築地店に由来する。
広報担当者は同社での裏メニューの伝統について次のように説明する。
「築地店のお客様は、料理の仕入れなどに関わる方が多い。いわば食のプロで、食べ方にも非常に自分の好みがあるわけです。ご要望に応じてメニューにないものをご提供していた結果、さまざまな裏メニューとして徐々に普及しました」
裏メニューとしてはその他、冷ましたご飯を使った「つめしろ」、ご飯の下に牛肉を盛る「肉した」などもかつて存在した。つめしろは、市場で働く忙しい客が、パパッとかきこんで食べられるようにと生まれたもの。肉したは逆に、ご飯に温められた熱々の肉を味わう意図で考案された。
日本一の食の中心地、築地が土壌となり、個々のお客の細かな要望に対応した裏メニューが誕生したのだ。なお、築地店は吉野家の1号店(発祥は日本橋だが、市場とともに築地へ移転)でもある。つまり、これらは吉野家におけるサービスの原点とも言えるだろう。
「ねぎだく」の場合、全国の吉野家で対応していたのは玉ねぎの量を増やす代わりに、肉の量を減らしたもの。築地店のみでは、肉の量をそのままに玉ねぎの量を増やしていたらしい。
2018年10月6日の閉店後、店の常連を震源地とした「ねぎだく牛丼コール」の高まりが、今回のねぎだく牛丼復活に至るいきさつのようだ。
そのため、新発売のねぎだく牛丼は、通常の牛丼よりちょっとお高い価格での登場となった。
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