吉野家玉ねぎ4倍「ねぎだく」人気の深いワケ

新スタイルの店舗「黒吉野家」で女性客を狙う

定番メニューへの格上げにあたり、改めてブラッシュアップも加えられている。

そもそも吉野家では、「たれ」を基準に、最大効果を生み出すことのできる牛肉、玉ねぎ、ご飯などの素材が選ばれている。今回の主役である玉ねぎについては、甘味があり、食感がしっかりしている品種を選択。

「煮込み具合によって食感が変わります。店舗ではもちろん、均一に提供できるよう管理していますが、それでも多少は変化が出てしまう。歯ごたえがあるところ、逆にとろとろになったものなど、お客様によっても好みがあるようです」(吉野家広報担当、以下同)

吉野家広報の寺澤裕士氏、海老名登子氏。2人とも店長としての経歴をもつ(筆者撮影)

理想は、歯ごたえが残っているぐらいの煮込み具合。今回、ねぎだく牛丼用には玉ねぎだけ別に仕込みを行い、最適な煮込み具合で提供しているそうだ。

「牛肉はアメリカ産のショートプレート(バラ肉)を使用しています。こだわりは赤身と脂身のバランスです。赤身:脂身が6:4であっさりとしていることが、毎日食べても飽きない味わいを生み出しています。牧草に加え穀物を飼料としていることで臭みが少ないのも特徴です」

話はそれるが、牛肉にはまた別のエピソードがある。2003年、アメリカでBSEが発生したことから、日本ではアメリカ産牛肉の輸入を禁止した。当時、吉野家が「豚丼」でしのいだことを記憶の読者もいるだろう。

「オーストラリア産でいいから販売してほしい、というのがお客様の願いでした。しかし社長の安部修仁(当時)は同じ素材にこだわった。今振り返ってみると、やはりそれがよかった」

赤身が流行しても、こだわりは変わらない

今も、いくら赤身が流行しようと、肉質へのこだわりは一貫して変わらないそうだ。100年以上、「変わらないおいしさ」を提供し続けている企業としてのブランド力ということだろう。

ねぎだく牛丼は1月8日に発売後、予想を上回る販売数を記録しているとのことだ。40〜50代男性を中心とする長年のユーザーに好評だが、ヘルシー志向の客層や、女性にもアピールしているという。

「1人で入店する女性客も増えてきましたが、まだ2割強というところです。テイクアウトでは半々になります」

そんな吉野家も、現在全国に1211店舗(1月末)を展開しており、この数は2年ほど横ばいあるいは微増。2019年度の既存店売り上げは前年の約108%、客数104%、客単価104%と、いずれもプラスを記録している。

中食ニーズが高まるなか、同社ほか外食産業が競合と目しているのはコンビニだ。しかし全国に万という単位で存在するコンビニに比べ、自然と、牛丼チェーンが客の行動範囲の中に含まれる確率は低くなるわけだ。

「コンビニにない強みをもっと出していく必要があります。出来立てのおいしさ、人による調理とサービス、食事空間などで価値を上げていきます」

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